コンビニでアイスを買ったら叱られた

 十二、三歳ぐらいの頃だったと思う。


 近所のコンビニでたまたまアイスキャンディーを見つけて、おいしそうだと思ったので貯めておいたお小遣いで買った。

 当時私は特に親からお小遣いをもらっておらず、年に一度祖父母からもらう数千円のお年玉を使わずにずっととっておいたのだった。

 年に一度しかもらえないので大した金額でもなく、そんなに自由になるお金はなかった。そのアイスを買ったのも年に一度あるかないかぐらいの話だった。

 しかし、アイス持って帰ってきたところを父に見つかり、「そんなものを買うな」と軽くなじられた。

 父は一度機嫌を損ねるとかなり面倒なので、怖くなった私は——理不尽だと思ったが——その後本当に何も買わなくなった。

 今思うと、うちでは基本的に全てが父の許可制で、父が許したことしかやっても言ってもいけなかった。非常に窮屈だったが、そうしないと怒鳴られたり、物を壊されたりしたので、仕方なかった。

 現在でも、私の趣味は金を使わないものが多い。


 最近では適応的選好形成(adaptive preference formation)などという言い方があるらしいが、私は常に父に趣味嗜好に合わせた行動・言動を心がけるようにしていた。それが私の生存にとって必要だった。

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