二日酔いの結果

アキちゃんズ!

実体験

 身体の中の内容物をなんとか出そうと全身を使って働いてみせるが、いかんせん最後に吐いたのは小学生の時だ。そんな感覚が備わっていたことすら忘れていた。

 しかし、記憶で忘れてようと人間の本能でそれは覚えていた。

 吐くに吐かない。えずく状態が三度も続いて吐き気が最大値に達している。

 いつでも吐ける。内容物を、食べたものを、胃液を外に出すことはできる気がするのに、身体がそうはさせてくれない。

 ここまでくると吐いた方が楽になれるんじゃないかと、頭で考えているのに、吐くことへの恐怖。十年来のため覚えていない行為への恐怖のため、えずくことはあっても口まで運ばれることはない。

 それならそれで耐えきれよ。

 それを考えたせいだ。後悔した。馬鹿だ自分は。

 突然、先程とは比べ物にならないほど全身が大きく動いた。それによって気管の道中までしか来なかった内容物が一気に押され、上昇して一気に口内へと辿り着いた。

 口の中で耐えることなんてできない。

 目の前にあるバケツのふちに両手を置いて、動かないように固定して顔を中へと入れた。

 考えることもなく直感で行っていた。吐くならこの中でと。

 用意ができた安心感からか、勢いよくその中へと内容物をぶちまけた。茶色いドロッとした物をぶちまけまのだ。

 それへの気持ち悪さと、口内にあるそれの感触の気持ち悪さ、この二つによるダブルパンチによって勢いは更に強くなる。

 ぶちまけ、ぶちまけ、ぶちまけ……計六回。こんなに自分の中にあったのかと、どうでもいいことを考えていた。

 目から涙、鼻からは内容物を含んだ鼻水を。口からは唾と内容物の混合液を垂らしていた。みっともない。こんな姿は誰にも見せられない。

 ティッシュなどでそれらを拭き取りたいが、吐いた行動の代償だろうか。全身が震えて力が全く入らない。今できることは息を荒げながらみっともなく垂らしていることだけ。

 気持ちが悪い。気持ちが悪い。しんどいしんどいしんどい……。


 そうしてこれを書いている二十分後の自分は、また来るかもしれない吐き気に怯えながらこの体験を認めていた。

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