第4話 冒険者ランク
目を開くと、見知らぬ天井が見えた。
必死に町にたどり着いた後の記憶があまり定かでは無いが、どうやら宿屋に泊まったようだった。
「あ、戦士様おはようございます。昨晩はよく眠れたでしょうか?」
部屋から出ると愛想の良い若い女性が声をかけてきた。
ここの従業員だろうか。
「はい。おかげさまでよく眠れました。……というか戦士って名乗ったんですね、私」
神様から任命されている以上間違いではないが、まだ自称するのは恥ずかしい。
「あ、いえ。異世界からの戦士様たちは、一目見て分かる格好をしてらっしゃいますので」
「異世界から来たってことを知っているんですか?」
「近いうちに異世界から戦士が現れるって、神様からのお告げがありまして。それで妙な格好をしたあなた様が現れたので戦士かと」
どうやら私たちの存在は、この世界の人々に事前に知らされているようだ。
「お代は結構ですから。また困ったことがあればいつでもお越しください」
「すみません。ありがとうございました」
本当だったらお代は払いたかったが、あいにくこちらの世界の貨幣を持っていなかった。無一文だ。
非常に心苦しいがそのまま宿屋を後にし、町を歩く。
大きい町ではないが、人が多く活気が感じられた。
「私はどうしたらよいのでしょう?」
何の気なしにつぶやくと女神様からの返答があった。
「ぼ、冒険者としてギルドに登録したらどうでしょう。全能神さまが言うには、それがおすすめだそうですよ」
「冒険者ギルドねぇ」
創作の中ではかなりメジャーな設定だと思う。
だけれども、まさか本当にそんなものがあるのか。
町の中でひときわ目立つ建物に入る。
中は賑わっており、ファンタジーの映画やアニメで見たような、酒場と集会所が合わさったような場所だった。
「は~い、そこの戦士さん。登録でしょう?」
カウンターから女性が慣れた様子で声をかけてきた。
「一般の方は、Fランクからとなるんですが、異世界からいらっしゃった戦士の方々はBランクからとなっております」
「なんで異世界から来たって分かったんですか?」
「変な服を着てらっしゃるので~」
ああ、見分け方はみんな同じなのかな。
「それじゃあ、登録お願いします」
聞きたいことはたくさんあるが、ひとまず登録を済ませる。
その後、このまますぐに依頼を受ける流れになったが、何の知識も無い中で依頼を受けるのは不安だったので一旦断り、先に情報収集をすることにした。
それにしても、モンスターに、冒険者ギルドか……。
完全にゲームやアニメの世界だ。
一通り町を回った後、町の外を見てみようと門の方へと向かうと、何やら騒がしかった。
「な、なんでしょう?」
女神様も気になっているようだ。
とりあえず行ってみよう。
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