夜の事
奏〜カナエ〜
布団の中
自分は恵ませているはずなのに孤独感を感じる。明日への恐怖。週末のバイトの不安。友人関係。そういった小さな絶望がベットを突き抜けて僕を刺し殺す。永遠に続くような闇の中で一人ぽつんと考えに耽る。
寝れないという代償に得れるのは少しずつ膨らんでいく不安だけ。“考えるだけ無駄”頭で分かっていても気づけばまた思考を巡らせる。終わらない闇との闘いが僕の心を疲弊させていく。
あんな事ができたらいいなと、希望に満ちた案も暗い波に飲まれて消えていく。忙しい日々を過ごすのに精一杯で自分が本当にしたい事は後回しにされていく。そうやって心に溜まっていくのを横目に見ながら毎日が進む。過去に置いてきた気持ちを取りに行かずに、自分が何をしたいかさえわからなくなって。
心を失くして人は生きていると言えるのだろうか。死んだとして何か変わる事はあるのだろうか?ただ葬式や手続きなどがされるだけのこと。死んでしまえばこうやって絶望を感じて眠りについていく事もなくなる。無になって何も考えたくない。
死という希望に縋って僕は生きている。
そうやって深いような浅いような事を考えながら今日もまた眠りについていく。
おやすみ、世界。
夜の事 奏〜カナエ〜 @mukiziro
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます