文章の整理と推敲の基本
篁千夏
文章を整理する
安田峰俊氏の『みんなのユニバーサル文章術 今すぐ役に立つ「最強」の日本語ライティングの世界(星海社 e-SHINSHO)』がとても興味深かったので。
そこから個人的に派生させて、文章の推敲について、個人的にやってることを恥ずかしながら紹介をば。
■①逆説表現の整理■
そこで挙げられていた悪文例のひとつが、こちら。接続助詞の「が」を多用した文章は、確かに読みづらいですね。そこで、逆説の意味以外は使わないという指摘。これはけっこう重要です。
◉私は札幌のホテルにチェックインしたが、駅前に位置していて、観光地へのアクセスがいいが、1泊4000円の安宿だったので部屋にミネラルウォーターも置いていないが、快適な夜を過すことができた。
これを篁なりにさらに磨いて、逆接の「が」のみを残しての修正した例が、こちらです。
→私は札幌のホテルにチェックインした。駅前に位置していて、観光地へのアクセスがいい。1泊4000円の安宿だったので部屋にミネラルウォーターも置いていないが、快適な夜を過ごすことができた。
小さな変化ですが、まずはこういう部分から段階的に整理していくのが大事です。
■②〝が〟を整える■
文章の整え方のパターンを使って、整理してみましょうかね。逆説のみを文章に残すのならば、「過ごすことが」の〝が〟も、置き換えたほうが良さげですね。いじってみましょう。
初心者はまず、テニヲハの修正から入ると、あまり身構えず楽しんで文章を整理できますしね。
→私は札幌のホテルにチェックインした。駅前に位置していて、観光地へのアクセスはいい。1泊4000円の安宿だったので部屋にミネラルウォーターも置いていないが、快適な夜を過ごすこともできた。
■③文章を短くする■
文章は短い方が情報が整理され簡潔で良いとするなら、もっとこの例文は削れます。
日本語の特徴として、主語は省略してもよい部分がありま。「快適な夜を過ごすこともできた。」も文章として少し長いです。せっかく修正した部分だけど、思い切って削ってしまいましょう。
文章の整理ではあんがい、一度修正した部分をできるだけ残したがる人が多いのですが、損切りするのも大事です。
下記の修正で、句読点込みで93文字の文章が、82文字に縮まって、少しキレが良くなったような(気がします)。
→札幌のホテルにチェックインした。駅前に位置していて、観光地へのアクセスはいい。1泊4000円の安宿で部屋にミネラルウォーターも置いてなかったが、快適な夜を過ごせた。
■④て抜き修正する■
さらに細かく微修正をば。「が」を重ねるのと同様に、「していて」は〝て〟が重なって、稚拙な感じもするしテンポも悪くなります。
「〜して、」という文章は「〜し、」という形にしたほうが、大人っぽくなります。これを『て抜き整理』と呼んでおりますが。
〝て〟が重なると幼稚に見える理由は、子供が「ボクは〜して、〜して、それで~して……」と繰り返し、なかなか終わりが見えないためでもあります。会話だけでなく文章でも多用されると、イライラしますね。
大阪のオバちゃんなら「ほんで、オチは?」と詰問するレベル。もちろん、小説なら子供っぽい会話文の表現で、おおいに使えます。
では、改変例を以下に。
→札幌のホテルにチェックインした。駅前に位置し、観光地へのアクセスはいい。1泊4000円の安宿で、部屋にミネラルウォーターも置いてなかったが、快適な夜を過ごせた。
文法的には動詞「する」の連用形「し」に、接続助詞「て」が付いて「〜して」となるのです。接続助詞を外し副助詞で止めてしまう、ということでございます。
──でも、こんな説明されても、頭がこんがらがるし、困ってしまいますよね? 文章を書くのが、楽しくなくなります。
「楽しく学ぶ」と「楽して学ぶ」は、別の概念です。まずは楽しく学びましょう。
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