79. 王都リードアロー到着

 あたしたち電撃作戦部隊が国境砦を出発してから10日後、ついにリードアロー王国王都にたどり着いた。

 予定よりも3日ほど遅くなったのは、的の哨戒網を避けるため遠回りしたことが何回かあったからだ。

 ただ、これでも王配殿下の予想よりは十分早いらしいね。

 リードアロー王国って防備もザルなんじゃないかな。


「さて、アウラ名誉伯爵。私と君は敵の真正面から出ていくわけだけど、準備は大丈夫かい?」


 秘匿回線を通じて王配殿下の声が聞こえてくる。

 もちろん、返す言葉なんて決まっているじゃない。


「大丈夫です。問題ありません」


「よろしい。では、行こうか」


「はい」


 さて、ここからがお祭りの始まりよ!



********************

***リードアロー王国国王ケネル



「なんだ! この騒ぎは!」


 先ほどから警鐘がガンガン鳴り響いている。

 これでは落ち着いて酒も楽しめないではないか!


「恐れながら国王陛下、すぐに防戦の指示を」


「うん? 軍務卿、それはなぜだ?」


「王都の視覚内にいきなりエンシェントフレームが2機現れました。1機は数年前にこのリードアローで大暴れをしていったアウラのマナトレーシングフレーム。もう1機はおそらくマナストリア聖華国王配のマナトレーシングフレームでしょう」


「アウラのマナトレーシングフレームにマナストリア聖華国王配のマナトレーシングフレームだと? なぜそのようなものがリードアローに現れる!?」


「わかりません。しかし、すぐさま反撃をしなければ、リードアローを火の海にされるやもしれません」


 おのれ、アウラとかいう小娘め、どこまでもコケにしてくれる!

 いや、待てよ?

 ここは盛大に我がマナトレーシングフレームのお披露目といこうじゃないか!


「迎撃には余が打って出る。リードアロー防衛軍及び近衛軍には援護するように伝えろ」


「は? しかし……」


「黙れ! 余が打って出るのだ! 文句を言うな!」


 ふふふ、余が国家予算の5年分をはたいて買い取ったマナトレーシングフレーム。

 そのお披露目には持って来いではないか。

 ここでアウラとマナストリア聖華国の王配を討ち取り我が国の軍事力をアピールするのだ。

 そうすれば攻め込んできている有象無象どもなど蜘蛛の子を散らすように逃げ出すであろう!

 余はなんと賢いのだ!

 今に見ておれ、リードアローを踏み荒らす侵略者どもめ!

 余のエンシェントフレーム、パトロクロスの餌食にしてくれる!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る