77. 王都陥落作戦

 リードアローの騎士や兵士から話を聞き終わったあと、マナストリアの騎士たちが集まってリードアロー王国王都の陥落作戦を立てた。

 といってもものすごく簡単なものなんだけどね。

 普通はこんな手段に引っかかる人はいないんだけど、リードアローの国王なら引っかかるかもしれないということでこの作戦が立てられたんだ。

 作戦にすらなっていない作戦なんだけど。


「さて、問題はリードアロー王国王都リードアローまでの補給線か」


 王配殿下が言うけれど、まさに問題はそこ。

 リードアローまで行くには普通の魔導車などを使うと1カ月かかってしまう。

 そうなると食料の補給は必要だし、食料を運ぶにはその護衛だって必要だ。

 その補給をどうするかって話がいまの議題なんだよね。

 正直、いい案はないんだけどさ。


「うーん。やっぱりいい案はないか。困ったときのマナトレーシングフレーム頼みは許してもらえるかな?」


「ヘファイストスですか?」


「ああ。聞いてみてもらえるかい、アウラ名誉伯爵」


「わかりました。聞いていた? ヘファイストス」


『聞いていた。我が提案できる解決策はひとつだ』


 どうやらヘファイストスには何か考えがあるみたい。

 全員が少し顔を上げてヘファイストスの話を聞こうとしている。

 代表して話をするのは王配殿下だよね。

 あとはお願いしよう。


「おや、解決策があるのかな?」


『我の異空間収納に食料などの補給品をすべてしまってから行軍する。そして、必要になったらその都度取り出すのだ』


「なるほど。それならいけそうだ。でも、結局は途中での補給ができないことになるね」


『そこは諦めるべきだな。軍を引き連れての侵攻より少数精鋭での電撃戦を提案する』


「電撃戦か。離脱に必要な機動性を確保できるかな?」


『我と貴君のマナトレーシングフレーム以外には我が改造を施そう。それで手を打て』


「それは頼もしい。お願いできるかい?」


『承知した。改造するエンシェントフレームを指示してくれ』


 ヘファイストスの提案によって作戦は決まった。

 王配殿下やあたしを中心とした少数精鋭による高速移動で、一気に王都まで侵攻する作戦だ。

 作戦と呼ぶにはいささか乱暴だけど、これが一番わかりやすいのだから仕方がない。

 問題はリードアロー王国側の防衛体制がどうなっているかだけど、それは最初に全軍でひとつの街と接触してみて様子を見るそうだ。

 その時は作戦に参加する王配殿下やあたしたちの戦力は温存、存在自体見せないようにする。

 単純な作戦だけど相手の王様も単純らしいし、案外上手く行くかもね。

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