70. 後続部隊攻撃作戦
あたしの役目は決まった。
ヘファイストスを使って敵の背後に回り、後方からの補給路を断つ事だ。
これって地味に大変じゃないかな?
「ヘファイストス。この作戦ってどうなの?」
『どうとは?』
「いや、戦争的に大きな意味を持つのかなって」
『大きいだろうな。補給がなくなれば戦線を維持できなくなる。いまは街に立てこもっている予想らしいが、それも出来ていなければ補給は後続部隊からの物資頼みだ。街を占拠していても物資は必要になる。この作戦は大きな意味を持つだろう』
「責任重大だね」
『ああ。責任重大だ。そのためにも偵察はしっかりと行わねばな』
「そうだね。行きなさい、ハチたち!」
あたしの命令でヘファイストスの左腕に増設されたユニットから、黒い虫のような者たちの群れが放出された。
あれが今回偵察をしてくれる秘密兵器、名付けて『ロングサイトビー』だ。
あれは虫のように小さいながらも極めて高度なカメラ能力を持つ。
そして個体同士で情報を伝達し合う事が出来るんだよね。
一個体だけでは無理でも、複数個体を中継してヘファイストスまで情報を運んでくれるから便利だ。
いまあたしたちがいるのは、華都を少し離れた山の中。
ここからならロングサイトビーをいくら放っても目立たないでしょう。
山の中から虫が飛び出していったっておかしくはないからね。
普通、目には見えないような高空を飛んでいくわけだし。
ロングサイトビーを放ってから一週間はひたすら情報集めを続ける日々だった。
軍議で教えてもらった3都市は既に攻め落とされていて街中で交戦中。
そこから逆にリードアロー王国方面に向けてロングサイトビーを飛ばし、補給路を確認。
すると途中で補給路がひとつにまとまり、大規模な集積地が見つかった。
場所は、だいたい国境付近になるのかな?
「ヘファイストス。襲撃をかけるのはこの集積地で問題ない?」
『そうだな。警備も厳重なようだがそこに攻撃を仕掛けよう。そこを破壊してしまえば、的の補給路を一気に叩き潰せるからな』
「ほかに補給路を作られる可能性は?」
『あるにはある。だが、マナストリアにつながる道はほとんどが森林地帯。大きな荷物を抱えて進むために新しい道を切り開くのはかなりきついだろう』
「それなら攻め込む意味がありそうね。よし、まずはここに攻め込みますか!」
『そうしよう。そのあと、3部隊ごとに別れた補給部隊を襲撃して補給を断てばいい』
「わかった。じゃあ、出撃するよ!」
『無理はしないようにな』
「うん!」
さて、攻撃目標は決まった。
待ってなさい、リードアロー王国!
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