第14話 宿命

ナイと別れてどれぐらいたっただろうか……………。


視界に映るのは木、木、木、木………………森だ。


俺はナイと別れてからひたすらナイに言われた通りに東に向かって歩いていた。そして荒野みたいに何もなかった場所から気づけば森に入っていたのだ。


俺はまた考えてしまう………………ナイと別れてから一体どれぐらいの時間が経ったのかを……………。


体感時間ではもう1ヶ月は超えてるであろう……………いや、少し持った、1週間……………いや、3日にしよう……………そのぐらいは経っていた……………だが違う、空を見て見るとナイと別れた時と景色があまり変わっていない……………つまり、2、3時間ぐらいだ………………。



………………………………………



………………………………………



………………………………………



「え!?こんなに歩いてまだ2、3時間なのかよ!?」


そう、ネフはまだナイと別れてから1日も経っておらず、たったの2、3時間しか経っていなかった。恐らく今日一日中の疲れが溜まっているからであろう。


「てか村ってどこだよ!?近くじゃねえのかよ!?」


しまいには八つ当たりしてしまうぐらいである。


「あ〜クッソ…………疲れてるせいか頭がおかしくなる……………他のことでも考えるか」


ネフはそう言って時間などとは違う他の事を考えて村を向かう事にした。


「そういや俺のこの『魔眼』の能力……………『闇』をどうして使えたんだ?最初は全く使えなかったのに…………」


『闇』…………それはネフが持つ2つの『魔眼』の1つ『闇黒』の能力の事だ。



「あのクソババア達と戦う時に使えたあの『闇』…………いや、『闇黒』か……………初めて使った時には全然コントロールなんて出来なかったのに……………今思えばどうしてあの時にコントロール……………言う事を聞いてくれたんだ?」


ネフが初めて『闇黒』を使った時にはコントロールは出来ず、逆に自分が『闇黒』に襲われてしまったのだ。だが、王国でインドラ達と戦った時には『闇黒』は暴走せず、自分でコントロールする事に成功したのだ。


「まあ、あの時はそんな事を考える暇もなかったから気付かなかったが……………この力をコントロールするでもあんのか?……………いや、もしかしたら俺はもうこの力を自分のものにして……………は、ないよな」


あの時はクソババアとインドラに計2回『闇黒』を使用し、コントロールする事に成功はしたものの、その時のことはネフ自身、あまり覚えていない、だからどうやってコントロールしたのかも掴めていないのだ。


「まあ、地道にやってくしかなえか、時間はたっぷりあるしな」


俺はそう考え、気楽に行こうと決めた……………そんな時だった。



…………………ドス…………………ドス…………………



突如地面が揺れ始めたのだ。



「ッ!?…………なんだ!?この揺れ!?」



…………ドス…………ドス…………………


俺が地面の揺れを察知した時と同時だった。目の前の道から「ドスドス」とでっかい足音?のようなものが聴こえてくる。


………ドス………ドス………ドス………ドス…………



その音は次第に大きくなり、少しずつこちらに近づいてきている事がよく分かる。


「足音的に…………でけえな…………オーク?………いや、それ以上だ」


オーク程度の大きさであれば普通これほど大きな音も出さず、尚且つ地面が揺れる程ではない。よって相手はオーク以上の大きさを誇る相手ということが分かる。


ネフは木や茂みに隠れることを考えたが、相手は間違いなくこちらに気付いてる、と思いネフは隠れずその場で身構えた。


そして森の茂みから相手は姿を現した。




「で、でけえ!?」


相手を見たネフの第一声がその言葉だった。いや、その言葉しか出なかった。


その現れた人物は……………人の形をした何かだった。


確かに人の形をしている、だがその大きさから人ではないと言う確証があった。



……………人間……………じゃあねえな、ありゃあ。



見た目は確かに人間だ、だが人間とはかけ離れて違うところがある……………その大きさだ。デカすぎる。身長は4、5メートルあると思われる程のデカさ、髪が黒寄りの灰色の様な色をしており、筋肉質な腕、足、胴体。何より存在感が今まであってきたやつの中で1番ある。


 

………こいつ…………強い。



俺はそう感じた時に、いつでも戦える様に構えていた。


「え?」


俺が戦闘態勢に入った事に驚いたのか、間抜けな声を出している。


「ま、待ってクレ!?お、オレは何もシネェから!?そんな驚かナイでクレェ!?」


俺にビビったのか?その巨人?は、明らかに同様しながら片言な言葉でそう言った。


「んな事信じられる訳ねえだろうが!」


俺がそう言って巨人を攻撃しようと行動に移す。


相手の巨人がどんな能力かは不明、気軽に近づいたら痛い目に遭う可能性がある。だからネフのとった行動は能力の雷を使い、遠距離から攻撃し、相手の様子を見る事。


「雷の矢」


ネフはそう言うと雷を矢の形に変え、巨人を狙う。


「わわわわ!!??ま、まってくれヨォ〜〜〜!!!」


巨人はそう言って何が何だか分からない様子でオロオロし、


「ッ!?」


こいつ!?まさか『魔眼』を!?


俺がそう思った時にはもう遅かった…………。


ネフにあり得ないくらいの睡魔が襲い……………ネフの意識がどこか遠くへと飛んで行くのが分かる。意識が遠くに行こうとしているせいか、巨人に当たろうとしていた「雷の矢」が消えて行く。


ネフの意識が無くなる直前に見た最後の光景は、その巨人が「あ!?ヤッチまっタダ!?ど、ど、ど、ドシヨウォ!?」と言ってオロオロしている姿だった。












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