第1話 嫌になる

王国が誇る英雄学園。


それは今、王国にあるの力を次世代に継がせるため作られた学校。


もちろん誰でも入学できるものではなく、魔力量や技術などが比較的に優秀な者のみが入学を許されている。


言わば英雄学園とは選ばれた者のみで構成されている。





俺はその英雄学園に入学して6年が経とうとしていた。


先日行われた筆記試験と実技試験の結果が廊下に貼り出される。


俺は結果を見に廊下に行き生徒たちが集まって騒がしくなっている方向へ歩みを進める。



筆記試験   総合1位  レン・ベルト


実技試験   総合1位  レン・ベルト



結果は1位…………入学してからずっと俺は学年1位の座を誰にも譲ったことはない。


「あ〜、やっぱり1位はレンか〜」


「やっぱ違うな〜、才能が」


「当たり前だろ?なんてたって英雄王の息子だからな」


「おいおい、じゃあはどうなるんだ?」


「ああ、あの恥さらしの出来損ないか」


「あいつは追放されたからな、てか死んだって聞いたぞ」


「ふん、あいつは王国の恥だからな」


「まあ何にせよ………流石は英雄王の息子だな」


試験の結果表の周りに群がっていた生徒たちの声が俺の耳に響く。



英雄王の息子、英雄王の息子………本当に鬱陶しい。


そして………あいつのこと。


俺はこれ以上周りの声を聴きたくなかった。


だから両手を耳に当て早足でその場を後にする。





放課後、俺は特に用事はないが早く家に帰りたかった。



そのため準備を終わらせてさっさと帰宅する。




「ちょっと待って!レン!」


と思っていたら校門前である生徒に声をかけられ止められてしまった。


俺はため息を吐きながら気怠げに声のする方に顔を向ける。


「なんのようだ?ルド」


こいつはルド・フウ………親父の親友でもあり戦友であると同時に英雄でもあるマルト・フウの娘。


一応、幼馴染みでもあり昔はよく遊んでいた。まあ最近は昔みたいに遊ぶことも話すこともだいぶ減ったけどな。


「なにってそれは………その………一緒に……帰りたい………みたいな」


うわーめんどくせぇ。


ルドと帰ると毎回毎回話が長くなって家の前まで着いてもなかなか帰してくれない、だからはっきりいって断りたい。


だがそうもいかない………昔、一度だけ拒否したことがあるがその時はなんと泣いてしまった。そして家に帰ったら帰ったで親父に「女の子を泣かせるんじゃねえ」て言って怒られた………ルドのやつ親父にチクりやがった。


だからめんどくさいんだよ。


「ああ、別にいいぞ」


拒否したくても出来ないので仕方なく折れるしかなかった。


そしたらルドは満面の笑みで


「うん!」


とだけ言って俺の横に並んで一緒に帰宅した。












「それでさー、ロマったらいつも私をデートに誘ってくるんだよね」


「いつもって………あいつは相変わらずだな」


「アスはちょー真面目だから勉強ばっかで最近遊べてないんだよねー」


「まあ、アスは昔から早く父さんみたいになりたい!ってずっと言ってたからな」


「………レンだって最近あまり遊べてないし……。」


「俺も勉強とか鍛練とかで忙しいんだよ…………それに………あまり遊ぶ気になれないしな」


「レンは勉強とか鍛練とか必要ないでしょ?それに遊ぶ気がないって…………もしかして………まだクト兄のこと………」


「…………俺ちょっと気分悪いから…………じゃあ」


「ちょっ、待ってよ!」


俺はルドの言葉を無視して家に向かって走った。








俺はやっぱり…………クト兄のことが…………。







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