第8章 SFらしい背景説明と、ラノベらしい××××
第37話 昼食後に ~そして裸の付き合いへ?
昼食時にはエリもマキもいつも通りの感じに戻っていた。
そして昼食の主食は更に僕の知っている食事に近づいていた。
何というか、ハンバーガーそのものだ。
1人あたり2個ずつ、皿に置かれている。
「これは凄いですね。バンズが本物のバンズのようだ」
触ってみるとふかふかしている。
今までの固いパンとはかなり違う物だ。
「今回採取した澱粉は比較的小麦粉に近い成分だったようです。この澱粉を使えばハルトの時代にあったパンとほぼ同じものを作る事が可能です」
マキ、やっぱり表情がドヤ顔になっている。
今の僕にとってはもう明らかだ。
「それでは食べましょう。いただきます」
「いただきます」
美味しい。
完璧にハンバーガーだ。
記憶の中にあるマ○クより美味しい気がする。
肉も野菜も間のソースも完璧。
どう見てもチーズとしか思えない味も感じるのだけれど、これも動物の脂肪で作ったのだろうか。
「美味しいです。あの提供される食事に戻りたくないですね」
「コショウの類種の果実も採れたので、再現度はかなり高いと思います」
マキ、どや顔のままで続ける。
「午前中の外出で食料の在庫は一気に増えました。澱粉はおよそ1ヶ月分、それ以外は10日分程度の余裕があります」
「エリもマキもありがとう。採取したり調理したり、他にも色々やってくれて。
たった4日でハンバーガーが食べられるようになるとは思いませんでした」
あのディストピア飯からここまで、強烈な進歩だ。
飲み物の方のコーヒーもどきも割と美味しい。
「パンはハルトの時代にあったものの情報を参考に何種類か作るつもりです。またパスタという料理も試してみようと思っています」
「調べる範囲を広げれば、より沢山の食用になる物が採取出来ると思います。あとは今日仕掛けた罠に大物がかかれば更に肉の種類が増える筈です」
うんうん、順調だ。
この異世界もどきの未来生活、悪くない。
元々ディストピア飯だけな事以外は悪くはなかった。
衣食住のうち、衣と住はほぼ希望通りに出来るし。
これで食が充実すれば文句なしだ。
エリとマキも綺麗だし可愛い。
最近は表情もわかるようになってきた。
さっきのエリの反応は予想外だったけれど。
僕の行動が救いであり希望である事、か。
今後地球に定住する人の参考になるという意味なのだろうか。
その辺が今ひとつピンとこない。
あと何か忘れている気がする。
懸案事項が残っていたような……
マキが作ってくれたハンバーガー、大きめでパテもしっかりしている。
2個食べればお腹いっぱいだ。
「ご馳走様でした。美味しかったです」
エリもマキも食べ終わったようだ。
お皿を集めて
「それではお風呂の時間です」
そうだ! 懸案事項とはこれだった!
なんて思い出してももう遅い。
こうなったら諦めて覚悟を決めよう。
どうせエリともマキとも一度入っているし、裸で抱き合うなんて事もやっているのだ。
だから今更問題は無い。
僕が頑張って我慢すればいいだけだ。
そう思いつつ2人と一緒に脱衣所へ向かった。
◇◇◇
マキが言っていた通り浴槽の幅が広がっていた。
確かにこれなら3人でも余裕だ。
なお浴槽のお湯は既に張られていた。
「お湯の温度は39度に設定しています。昨日は少し熱く感じましたから、ゆっくり楽しめるよう1度下げました」
長時間浴槽に入りすぎなのだ、なんて事はとりあえず言わない。
僕も結構のぼせたのは確かだから。
のぼせた根本的理由は違うような気がするけれど。
2人に挟まれると視界が厳しいので奥の端をキープ。
浴槽の縁にくっつくように身体を伸ばす。
ぬるいお湯はピリピリとしたいかにも入っている感は薄いけれど、その分負担も少なそうで割と快適。
これくらいのぬるさに長時間浸かる方が疲れはとれるかもしれないな。
そう思った時だった。
「ハルトの時代について色々と
エリの言葉、何か微妙に違う気がする。
裸の付き合いをする為に本当に裸になる必要はない。
ただしまだまだその先がありそうだ。
だからここで遮ったりはしない。
「裸の付き合いとは、どうやら率直に物事について語る事が出来る付き合いという意味のようです。
先程
何故それを、そう思って気付く。
「昼食前にした話の続きですか?」
「その通りです」
今度はマキが返答した。
しかしこれは
これからの話はエリとマキ、2人からという意味だ。
おそらくは、だけれども。
「ハルトの前にも何人も遣わされし者は作られました。私の記憶には彼らに仕えた巫女の記憶が幾つも残っています。
そのほとんどは失敗の記憶です。
やはり僕以外にも遣わされし者はいた訳だ。
ほとんどという事は成功した記憶もあるという事だろう。
なら
成功例があるなら、それを使えばいいだけだろうから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます