#言葉の添え木 お題:「流転」

星宮林檎

何度でも……

 今日も君の面影を追い、日がな過ごした。花を見ては嘆息し、月を見ては涙し、心休まる暇もないほどこの心は今日も明日も君で溢れ続けるだろう。

 ある小春日和の午後、君は何か言いたげにじっと僕の隣に立って空を見詰めていた。『もしも私が 

あなたを残して来世へと旅だったとする。それでもあなたは平気?今と変わらず微笑みながら生きていける?』と。

 僕は答えられなかった。正確に言うと、どう答えてよいかわからず戸惑っていた。でも動揺を気取られてはいけない。今僕は、答えを間違えることは許されないと悟った。

「そうするよ」

彼女が息を呑む空気が伝わってきた。

「もしも、君がそう望むなら」

 僕たちの間に、空虚な沈黙が訪れた。

「僕は、何百年と時が流れ、何度生まれ変わっても必ず君を見つけてみせる」

 秋深まる夕陽の中、彼女はこれまで見た事のないくらい穏やかに柔らかな笑みを見せた。

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#言葉の添え木 お題:「流転」 星宮林檎 @saeka_himuro99

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