第25話瑠璃色の祈り

 僕が、君に出会ったのは、夕刻の鐘が鳴る、静かな夢のあけゆく空の中で。

涼やかになる、音と、世界のはざまで、瑠璃色に揺れる、終わりゆく、絶望の、ダンス。

僕は踊る。世界の中で、夢の静寂で、命が灯る、意思と意志の交換。反射神経、反応する想い。

生意気な君。紫色の顔をして、僕を呼ぶ、「助けて」僕は答える。「何もできない」でも君は叫ぶ、「一人にしないで」

いやだと僕を呼ぶ小さな少女。そして、位牌を据える、テーブルの上、静かに揺れるジュニパーの光。薔薇色の世界で、君は置いてきぼりにあった。僕も一人だった。君の存在をかけがいがないものと思った。紫色の君が薔薇色の頬に染める、その恋心が、僕をつなぎ止める。君の夢とか、痛みとか、苦しみとか、そういう全部を背負って僕は歩くよ。一歩足を踏み出して、君の心の痛みを知った。明け方近く、君の魂が、僕を救い上げた。

「いかないで」

僕はこう返す。

「行かないよ。君が好きなだけ、そばにいていいんだよ」

僕は、泣いた。

「ありがとう、美しいルリ」

空が、空が、赤く染まる。瑠璃色に染まる君の横顔。

抱きしめてあげたいんだ。

その、小さな夢を。

震える心で、ずっと君を抱きしめていたい。

君は傍にいていい。何も悪くないんだよ。

ハートに灯る恋心、違うね、寂しいんだ。君は僕も、独りでは生きていけない。

それだけが、真実だね。

クス&ハグ。

永遠の瑠璃ダンス。まるで祈り。そう、明け方近くの優しい吐息、君の魂そのもののような太陽、カーテンが開いて、招き入れる光の福音。ほら、空が広いね。見える? ルリ。

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