四足演算!!

福留あきら

序章  キツネ + ライオン = 政治家

「――“政治家はキツネの狡知とライオンの威を必要とする”!!」


 窓の外で、朗らかなそよ風が桜の花びらを運んでいる。そして大講堂の中では、春の嵐のように力強い青年の声が響き渡っていた。


「君主論で有名なニッコロ・マキャヴェリが残した言葉だ。獅子は落とし穴に対して自らを防ぐことはできず、狐は狼に対して防ぐことができない。しかし!! 国を治める者は罠を知るために狐となり、狼を走らせるために獅子とならねばならない!!」


 壇上に立つ男。それはまるで国を背負って立つかのごとき威厳と気概を持って今年の新入生に強く訴えかける。


「お前達にはこの三年間で狐となり、獅子となって貰わなければならない。この私立聖櫂せいかい学園高校の新たな一員としてその胸に誇りを持ち、そしてゆくゆくはこの学園を……国を! 背負って立つ者としての使命感を抱けるようになって欲しい!! 未来の政治家たり得る諸君等の入学を、在校生代表として心より歓迎する!! 生徒代表及び聖櫂学園生徒会会長、皇城すめらぎ王臥おうが!」

 心に刻み込むような言葉とともにこの学校の厳粛な雰囲気を植え付けながら、生徒会長を名乗る男は祝辞を述べ終える。

 それと同時に辺り一面拍手喝采となり、入学式はそのまま粛々と進められていった――

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