第28話 呪いを解くと
ニムリが姿を消した。
ちょうどこれから話をしに行こうと思っていた矢先だったのに。
普通ならこれからニムリをみんなで捜索する展開になると思うが、残念ながら俺の魔力感知の力にかかればこの問題は一瞬で解決してしまう。
「ふふ……」
森の洞窟に隠れていたニムリは、俺の登場を見て微笑む。
「そうですよね、女王様の呪いをあっさりと解いてしまえるアナタからしたら、ワタクシを見つけるなんて容易ですよね」
ニムリは洞窟の壁をボヤっと見ながら、そう呟いた。
「教えてくれ、どうして呪いを解きたくないんだ?」
俺の声が洞窟に響き渡る。
「……分かりました。もしかしたら理由を話した方があなた方が、ワタクシの呪いを解くことを諦めるかも知れませんしね」
「――それって、どういうことだ?」
意味深な言い回しだな。
「ワタクシ、そして女王様のこの2つの呪いがとかれた時、ベロニカはもう一度このエルフの国へ現れ虐殺を行うのです」
ニムリの体は微かに震えている。
「――つまりあなた方も、我々エルフ族もベロニカに殺されてしまうのです!」
暗闇で光る彼女の瞳が真っ直ぐにこちらを見つめる。
「――もう分かりましたでしょう、だからワタクシの呪いを解くことは諦めてください」
えぇーー!!!
「おいおい、マジかよ」
ニムリはキュッと口を閉じ俯く。
「黙っていて申し訳ありません。ワタクシはあなた方がここまでして下さろうとしてくれただけで、十分救われました」
そう言って深々と頭を下げるニムリに俺はなんと声をかけたら良いのだろう。
――そんなことでエルフの仲間たちと一緒に暮らすことを諦めてたのかよ。
「そんなことだったのかよ!!!!」
「は?」
ニムリはほんの少しだけ首を傾け、なんとも威厳の無い声を出した。
「俺はてっきり、呪いを解いたらニムリが死んじゃうとかそんなだと思ってたのに! 」
「え、いやでも、結局はそうなりますし……」
「あ? 呪いを解いたらベロニカとか言う奴が出てくるだけなんだろ?」
ニムリはこの人話を分かってないなと言わんばかりに声を荒らげる。
「だから! そのベロニカが私たちを殺すと――」
「そうさせなきゃいんだろ?」
《あとがき》
遅くなって申し訳ありません!!!!!!
あと今回は体調の関係でかなり短めになってしまいましたm(_ _)m
この作品が気になった方はぜひ、評価、フォロー、コメントしてくださるとすっごく嬉しいです!
次回は1月 15日 日曜日の15時13分に投稿します。
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