十四話 逆バニー神拳伝説(3)

 四本のナニが、壺に入り込むドジョウのようにヌルヌルと、緑山サンドの肉穴に潜り込もうとする。

 四本のナニが、互いを牽制しながら肉穴に侵入を試み、入り口付近が小刻みに拡張されていく。

 加えて、爆乳も二つの頭に吸われている。

 毒による発情で性的快楽に敏感になってしまった緑山サンドは、声帯を使った反撃技の為に呼吸を整えたいのに、メス堕ちしつつある。

 反撃する闘志と同時に、このまま種付けされたい気分も湧いてしまっている。

(くうっ、なんとか、僅かでも、時間を稼がないと)

 何かナイスアイデアを思い付かねばと焦る緑山サンドの脳裏に、今朝の配達中に耳に入った、飛芽と青波の会話がリプレイされる。


飛芽「後ろの穴は未だだね、流石に。生で前の穴一筋」

青波「ふふふふ、遅かれ早かれ、全ての穴は制覇されるフェイトですよ」

飛芽「どうだろうねえ〜〜、満足しているしな〜〜推品」

青波「満足なんて幻想は、ヴァージョンアップされちゃうものですよ。そこで開発されたのが、このアナル専用のゴムです」

飛芽「…需要、有るのか?」

青波「有ります。全ての人類に」

飛芽「うおう」


 ピンチなのにアホな会話をリプレイした自分を罵る寸前に、緑山サンドはナイスアイデアを思い付く。

「あのう、四本もあるなら、一本は後ろの穴の方に入れて欲しいです」

 思わぬ提案に、蜘蛛型怪人・リョウキリーの動きが止まる。

 罠なのか、助けが来るまで迎合する腹なのかと、迷ってシンキングタイム。

 その僅かな隙に、緑山サンドは呼吸を整え、声帯から気合の籠った音響を繰り出す。


 緑山流護身術・ウニ潰し


 男の精巣のみを破壊するようにチューニングされた、緑山流に代々伝わる音響攻撃である。

 これを喰らった男は、精巣が爆発して、再起不能。

 ドン引きされるので、門外不出の荒技なのだ。

 蜘蛛型怪人・リョウキリーの精巣が爆裂し、全てのナニの先から、生涯最後の子種汁が射出される。

 緑山サンドの肉穴に潜る途中でのラスト・シューティングなので、緑山サンドの胎内にも、子種汁が流れ込んでしまう。

 緑山サンドは、少しも慌てなかった。

 処女膜は数年前に高校の先輩に献上して失っていたが、寸止め戦隊から貰った緊急コンドームが仕込んである。

 普段は膣奥に小さく張り付いているが、望まぬ子種汁が入って来た場合、膨張して膣内コンドームとして子宮を守る。

 緊急コンドームの作動と共に、異変が寸止め戦隊に共有される。

 剛法空手緑山流道場でサービスしていた暗黒寺満娘は、間を置かずに逆バニー戦闘服を転送する。

 精巣が爆裂した痛手から蜘蛛型怪人・リョウキリーが立ち直る前に、緑山サンドは逆バニー姿の戦闘服を装着する。

 寸止め戦隊の戦闘服は、装着者の発情を鎮静化し、股間に入った異物を浄化していく。

 呼吸を整えてから、緑山サンドは名乗りを挙げる。

「プリスグリーン。討伐を、極める」

 蜘蛛型怪人・リョウキリーの全身が、精巣と同程度に破壊されるまで、五秒と掛からなかった。



 緑山サンドは事後処理を飛芽たちに任せて自宅に帰ると、シャワーを浴びようと風呂場に行く。

 そこには、風呂から上がったばかりの暗黒寺満娘が、やたらと艶々した肌色で着替えをしていた。

「お父様の許可は得ました。今度こそ、正式にプリティスキンに加入してね」

 緑山サンドは、安国寺満娘の巨乳の下乳部分を凝視する。

「バカ親父のキスマークが、取れていないぞ」

「そこは吸わせていないわよ。…おっと」

「五人目は、ハニートラップ抜きで獲得しろよ」

 緑山サンドは脱衣しながら、同僚の巨尻を引っ叩いた。

 そこには既に、バカ親父の手形が薄っすらと残されていたが、サンドは疲れたので言及せずに風呂場でのリフレッシュに専念する。



 緑山サンドが連れ込まれた倉庫を隈なく調査して、青波綾風は結論を出した。

「今度の敵は、性的に民間戦隊を籠絡する気ですね。敵怪人の体内毒素は、相手をメス堕ちさせる事に特化して調整されています」

「おお、良かったじゃん。スポンサーの商品が、売れまくるぞ」

 飛芽は、怪人の解剖データから最新の情報をアップデートしつつ、同僚を持ち上げてやる。

「確か開発者にマージンが入るから、青波もウハウハだろ」

「…一手遅れていたら、プリスグリーンの戦闘力が、此方に向いていましたよ?」

 青波の方は、楽観的になれない。

「なら、先手を打ちまくった、暗黒寺のお手柄だろ。結果は上出来だ」

 四人目の戦力データに満足しつつ、飛芽は帰宅を促す。

「なあ、もう終わりだろ? 帰っていい?」

「ええ、はい、終わりに…」

 青波の返事と飛芽の期待は、場違いな高笑いと共に、吹き飛ばされた。

「あっははははははははっははははっはあ、ほら、寸止め美少女戦隊なんてフザケタ名前の連中は、いないじゃなイカ。ビクビクせずに、下僕の遺体を回収しよう、ホタルイカ」

「ホタルイカではなく、ホルカです」

「そうだっけ? 黙れ」

 スクール水着の上にパーカーを掛け、大鎌を担いだ根暗そうな美少女が、スルメイカを食べながら『民間戦隊の封鎖した区域』の中に無神経に侵入して来たタキシード姿の上司に訂正を求める。

 見目麗しい、黒いタキシード姿の男だった。

 胸元のポケットに無遠慮にブッ刺した薔薇の花と、焼いたスルメイカを素手で持ち歩いて食う姿から、雑で無神経なキャラだとは、すぐ知れた。

「この私が、情報戦で手を抜くと思うかい? ここには野良っぽいトマト怪人と、押し倒したくなるような上級美少女しかいないって、調査済みだよ。ほら、ご覧。情報通りだ」

 高得点に整った顔でも中和出来ない程に強い性欲に満ちた視線が、青波綾風の全身を嬲る。

 青波は、過去最悪に悍ましい視姦を味わった。

 確実に、青波を犯すつもりでいる視線だ。

 変身のアクションを取ろうにも、悍ましさに心身が強張って、動きが進まない。

 飛芽は変身し、プリスレッドとして男の視線を遮り、攻撃銃(ブラスター)を構えて相対する。

「…騙された! 敵のレッドやないかい!? 誰だ、野良のトマト怪人とか嘘情報を私に垂れ込んだアホは?」

「そのアホは、カリスクビー魔王軍の駆逐大隊指揮官です」

 ホルカはイヤイヤ指摘しながら、プリレッドの横から大鎌を振りかぶって牽制する。

「それは私だな。そうか。確かにアホだな、私」

 戦闘服に身を包んだ民間戦隊のレッドを前にしても、男はエロい視線を止めない。

「ふむ、致し方ない。判断ミスを認めて、行動計画を修正しよう」

 カリスクビー魔王軍の駆逐大隊指揮官と呼ばれた男が、胸元の薔薇に手を伸ばす。

 プリスレッドは、その段階で攻撃銃(ブラスター)を発射する。

 並の怪人なら一撃で仕留める威力の光線を、男は薔薇の一輪で受け止める。

 薔薇の枝から棘が何本も鞭のように伸び、プリスレッドと青波綾風を同時に捕える。

 プリスレッドは、身動きの全く取れなくなった状態で、首にホルカの大鎌を突き付けられる。

 男は、青波だけを身近に引き寄せると、キス出来るほどに顔を近寄せてから、プリスレッドに話しかける。

「私がこの上級美少女を賞味している間に、3Pするかホテルイカに首を刎ねられるか、決めるといい」

「ホテルイカではなく、ホルカです」

「知らんがな、黙れ。今からは私の、一方的な愛の時間だ」

 そう言ってから、男は青波の唇を、強引に貪り始める。

 青波が顔を背けようとしても、男は舌を絡めて執拗に唾液の飲ませ合いを強要する。

 青波は奥歯に仕込んだ、戦闘服の緊急システムのスイッチを入れる。

 所持者の危機に応じて、自動的に戦闘服を装着させるシステムが作動したが、男が離れたのは一瞬だった。

 男の薔薇の鞭は、難無くプリスブルーの戦闘服を斬り裂いた。

 青波綾風が、全裸で再び薔薇の鞭に拘束される。

 完全に無防備になった青波を、男はさも当然のように再び抱き寄せて、口腔を貪る行為を再開する。

(しまった…お股の中には、緊急コンドームを仕込んでいたけど…)

 青波は、男の唾液を飲まされ続ける意味を、悟る。

 悟った時には、男の唾液がもたらす効果で、発情したのを自覚する。

 再変身する事よりも、もう一度キスされる事を選びたくなっている。

 十分に唾液を飲ませてから、新敵キャラは名乗りをあげる。

「私は、遠萌(ともえ)ファイ2号。君は私を、ご主人様とさえ呼べばいい」

 青波は、ご主人様の体液を求めて、喉を鳴らしてしまう。


 自信満々に青波を堕とそうとする遠萌ファイ2号の横では、

「離しなさい。汚いですよ」

「ふんがっーーー!!!」

 ホルカが、大鎌の刃に喰らい付いて破壊しようとする元トマト怪人に、呆れて手こずっていた。

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