ぼくの「無効化能力」が美少女超能力者たちの【変・態・性】に蹂躙されている件
えぬし
第1部 霧ヶ峰カスミ
第1話 霧ヶ峰カスミは超能力者である
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霧ヶ峰カスミについて、ぼくが知っていることは少ない。
彼女は最近、具体的にはゴールデンウィーク明けに、ぼくの通う中央高校に転校してきたばかりだ。このほかにもぼくと彼女との間にはとある接点が存在するのだが、それでもなお彼女のことについては、表面的なことしか知らない。
彼女のことを一言で表すなら『お・嬢・様・』だ。物腰が柔らかく、不躾な質問などにも余裕をもって返答をする。不自然なほどによくできたお嬢様。少なくとも、表面上はそういうことになっている。
だが、それが彼女の本性かと問われれば、それには「NO」と答えざるを得ないだろう。彼女はお嬢様を演じているだけである。エ・セ・お・嬢・様・である。何故彼女がそんなことをしているのかは分からない。だが、相当無理をしているはずだ。ストレスもたまっていることだろう。
そして――。
そのストレスは、彼女にしか出来ない方法で解消しているに違いない。
そう考えるのには、根拠がある。
そして、その魅力的な根拠は、ぼくの目の前にあった。
霧ヶ峰カスミ。
教室に入ってきた彼女は、服を着ていなかった。
いや、全裸というわけではない。
下着は着ているものの、制服を着用していないのだ。
彼女は教室のドアを開け、堂々と教室の中に入って来た。
「あー、転校してきてからしばらく我慢してきたけど、やっぱりこれよね~」
解放的な格好。
そして、開放的な発言。
まるで、周囲に誰もいないかのように振舞っている。
そして、事実として、彼女の奇行を気にしている生徒はいなかった。
ぼくを除いては。
そう、ぼくだけは、彼女の奇行に気づけていた。
そして、至近距離にある彼女の肉体に目が釘付けになっていた。
白い下着に包まれた女性の肉体。
ほとんど運動はしていないことから、特に引き締まっているわけではない。
それが、生き物としての色気をことさらに醸し出していた。
上履きと靴下は穿いたままだ。
教室の床を裸足で歩く気にはならなかったのだろう。
服を着ないで歩く気にはなったみたいだけど。
季節は梅雨に入り始めた六月上旬。
この格好でも、寒くはないだろう。
だが、問題はそういうことではないのだ。
霧ヶ峰は、ぼくの周りを執拗に歩いていた。
少しでも接点のあるぼくの周りにいたほうが興奮するとでもいうのだろうか。
ぼくは、それを見て見ぬふりをする。
正確に言えば、見えてはいるものの、それに気づいていないふり。
小刻みに揺れる胸を視界に収めてはいるものの、騒いだりはしない。
目の前に差し出される鼠径部そけいぶに意識を持っていかれそうになるが、耐えきる。
これには、とある事情があるのだ。
ただ霧ヶ峰が特殊な性癖を持っているというだけの話ではない。そういう側面も十分にあるのだろうし、それについてはいずれ避けては通れなくなるのだろうが。
とにかく、この事態を説明するには、もう一つ――『超常的事実』を追加する必要がある。
そう――。
霧ヶ峰カスミは『超能力者』なのである。
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