夢日記〜心と幻想の狭間で〜
豆しばむつ子
第一夜
こんな夢を見た。
どうやら私は探し物をしているらしい。らしいというのはその探し物が皆目見当もつかないのである。
空を見上げると二つの双子星が瞬いていた。別の旅人から聞いた話ではこの二つ星はカストルとポルックスと言って、片方が神の血を引き、片方は人間の血を引いていたそうである。別の双子と喧嘩した時、人間の血が流れている方が死んでしまった。そして神の血を引いているものはその兄弟に自分の不死を半分分けたんだという。そんなとても切ない話を聞いた。
しかし空を見上げたところで自分の探し物は見つからない。人なのか物なのか、どんな姿形をしているのか、もともと持っていたものなのかそうでないのか。それすらもわからない。そのうち星を見ることも忘れてどこにいるのかもわからず血眼になって探している。
喉がからからに乾き、気道がくっついて呼吸はひゅーひゅーと風のような音を立ててもお構いなく探している。
それはそれほどまでに大事なものなのだろうか。いや、大事なものなのだ。確信はないがそうなのだ。
日が何度昇って何度落ちただろう。
もう永久に探し物は見つからないだろう。そう思い空を見上げた。今は夜だった。空は布で覆われたかのように暗く狭く感じた。そこには変わらずカストルとポルックスが瞬いていた。
するとどうだろう。風も無いのにひゅーひゅーと音がする。見ると一人の旅人が必死になって探し物をしているのだ。傍から見ると非常に滑稽である。
星の儚げな灯りが薄ぼんやりとその人影を映しだす。なんとその人物は私ではないか。
そうして私は気が付くのだ。
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