戦国時代にインターネットが普及したら織田信長がネトゲ廃人になって年貢が半端ない。

長門 一

第1話 世紀の大天才が望む世界はネトゲが普及した戦国時代

 20xx年日本に人類史上最高の天才が生まれ落ちた。


1歳にして日本語をすべて習得。

2歳には英語が喋れるようになっていた。

3歳には難解な数学の公式を理解し。

4歳には六法全書の内容を、丸暗記するまでに至った。


 10歳になり30か30カ国語目の言語である、スワヒリ語を完全習得に

至った時、この異例の寵児の存在を知った日本政府はある特例を出す。


 この異才を世に出すべく、飛び級すらも認めた海外への留学の支援を

することになったのだ。



 その期待に応えて……いや期待を超越してその神童は比類なき才能の

証明を続けた。

12歳にはIQは200を超えて、13歳には世界最高峰の大学マサチューセッツ工科大学に

入学した。


 そして在学中に世界を覆す論文や研究の結果を残し、世界中の人々から羨望の

まなざしを受けた。


そして14歳、この怪物はマサチューセッツ工科大学を首席で卒業した。


 その時、世界中の数学者、言語学者、政治家、哲学者、研究者、画家、医学者、

漫画家、漫才師に至るまで各ジャンルで天才と言われて来た者たち。

どんな人間でも感じたことがあるであろう、才能のヒエラルキー、

その階層の頂点に立つのは自分だと自惚れていた者たちは悟った。



今人類は新たな境地にたどり着いたのだと。



 その後もこの男の躍進は止まらず、人類のすべての「文化」「技術」を

500年早めた男と言われるようなった。

そして30歳を越えて知性、経験、肉体、すべてにおいての全盛期に

至ったその男はある研究に身を乗り出す……そう、宇宙の真理への到達である。



 その研究はまさに神の領域であり、この男の天稟を持っていても、

容易ではなかった。


10年……20年が経ち、世間からも忘れさられた時、男は遂に神への扉に

手をかけた。



真っ白な空間だった。



そこには男が立っていた。




そしてもう一つ巨大な神々しい人の形をした光の塊。






 その圧倒的までの神々しさと情報量に、並みの人間であれば脳が一瞬で、

焼き切れてしまうであろう。



そう……まさに男は「神」と対峙をしていた。




「人間よ……よくぞここまでたどり着いた」


神は厳かな口調でそういった。




男は何も答えない。




「お前は初めて神に近づいた人類……褒美に何でも一つ望みをかなえてやろう。

何を望む人間よ? この世の支配者になりたいか? それとも不老不死か?」



神からの最大の褒美、それを受ける無類の人類は果たして何を望むのか?




一瞬の沈黙の内、男はゆっくりと口を開いた……




「歴史を改善したい」



「ほう…歴史を変えたいというのか、いいだろう。世に影響を与えた人物を

消滅させて時代の流れを変えたいという事か?」




「いや……戦国時代にインターネットを復旧させてオンラインゲームを

流行らせてみたい」




「はい?」



「だから、戦国時代にオンラインゲームを流行らせてネット廃人になる武将を

見てみたいの」

「そんなんでいいの?」

「できないの?」

「いや、できるけども……」

「あ、じゃあそれでお願いします。」

「あ、はいわかりました」




やっぱ頭いい奴って、変な奴多いなと思う神であった。





時は遡り




~天正3年~


 世は戦国時代、まさに群雄割拠の時代で歴史に名を残す強者達が、

悠久に続く戦いを繰り広げていた。



 近江の今の滋賀県にそびえたつ安土城の一室で参謀・軍師達が

次のいくさの為の議論を夜通し行っていた。




「いや、それでは右翼が手薄になってしまう!」

「戦いは地の利を活かすのが先決! 多少手薄になっても致し方あるまい!」

「地方の足固めの議論が優先であろう、身内から足をすくわれたのでは、

笑い話にもなりませぬぞ」



様々な意見が怒号のように飛び交い、異様な熱気を出して白熱する議論を

鎮座して胡坐を組み、頬杖をついて鋭い目で眺める男がいた。


その男の名は「織田信長」、言わずと知れた、戦国の世の英雄である。

「冷酷無比」「改革者」途方もなく有能で残虐な完全無欠の戦国武将。



しかしそれは改変されていない世の中の話、この世界での信長は……



「(はやく帰ってゲームやりてぇ…)」








ネトゲ廃人であった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る