第41話 可愛いの相乗効果

翌日、本日もそれとなく水瀬さんと一緒に登校出来そうな時間に家を出て、のんびりと歩いてその場所へと向かうと、この前の猫が居て、またしても擦り寄ってくる。


「よしよし、愛いやつめ」


時間潰しもあるけど、昨日の水瀬さんとのお出かけが楽しすぎたので、今日も会えるのが非常に楽しみになっていて、それが分かるくらいには猫を撫で回していた。


自分でもびっくりするくらいには、ご機嫌なのかもしれない。


「蒼井くん、おはようございます」


そうして猫と戯れることしばらく。


本日も早くに登校するようで、水瀬さんが俺に気づいて駆け寄ってきた。


「おはよう、水瀬さん。昨日はありがとうね」

「いえ、私も楽しかったです。それに……お花、ありがとうございました」


昨日は突然のことにびっくりして動揺していたけど、翌日になって少し落ち着いたのか嬉しそうにそんな事を言う水瀬さん。


「お礼を言いたいのは俺の方なんだけどね。気に入ってくれたなら嬉しいよ」

「はい、早速お部屋に飾りました」

「そっか、ありがとう」


そう言うと、嬉しそうにはにかむ水瀬さん。


うむ、可愛い。


「蒼井くん、その子はこの前の子ですよね?」

「ああ、今朝も居たみたいでね」

「そうなんですか……おはようございます、にゃんちゃん」


水瀬さんが優しく撫でながらそう言うと、人懐っこいのか反応する猫。


この前も思ったけど、本当に人になれてる子だなぁ。


あと、相変わらず水瀬さんが猫を呼ぶ時の呼び方が可愛い。


「毛がついちゃうので、抱っこ出来ないのが残念です」

「そうかもね。今度は私服の時にでも会いに来ようか」

「そうですね」


さりげなく次の約束を取り付けると、水瀬さんは疑うことなく頷く。


無防備で少し心配にもなるけど、俺の前だから……という可能性もあるし、その辺は俺が守っていこうと密かに誓う。


「それにしても、この前もそうでしたけど、この子は蒼井くんに懐いてますね」

「そうかな?水瀬さんにも懐いてると思うよ」

「人懐っこいのでしょうか?」

「かもね。でも、俺もこの前見かけたのが初めてだったから、新入りなのかもね」


捨て猫や飼い猫というよりは、野良が似合いそうなその様子の猫だけど、これだけ人懐っこいのなら餌には困らないのかもしれない。


野良猫に餌を与えるのは良くないと分かっていても、これだけ人懐っこく擦り寄ってくると自然と甘やかしたくなるのだから、可愛いとは本当に強いと思う。


「よしよし、良い子ですね」


そして、そんな可愛い猫と可愛い水瀬さんの組み合わせの尊さも素晴らしいものであるので凄いものだ。


何にしても朝から良いものが見られて俺は既に早起きに価値を見いだせております。






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