第6話 好みの問題
校長先生のありがた〜いお話やら、イケメン生徒会長たる和樹の爽やかな挨拶と実にスムーズに入学式は終わった。
まあ、高校の入学式なんてこんなものだろうと思いながら教室に戻ると、中年の男の担任の先生が自己紹介をする。
「とりあえず、入学おめでとう。流石に小中と何度となくやってるから新生活ってやつも勝手を知ってきてるとは思うが、とりあえずこれから一年お前たちの担任をやる山本だ」
新生活を勝手知ったるなんて表現する人初めて見たかも。
「まあ、今日は基本チュートリアルだから、教科書類やらの確認だけはしっかりしとけよー。あと、流石にこの歳になってくだらん事をするようなアホは居ないと思うが、節度を持った高校生らしい学生生活を満喫するといい」
そう言ってから、簡単な注意事項をして本日の授業は終了する。
まあ、授業というかホームルームだろうけど、やはり入学式の日というのは比較的早めに終わるので有難い。
先生達もやる事があるのだろうし、保護者会とかもあるのだろうから、学生の俺たちはさっさと帰るに限るだろう。
にしても……
「なんつうか、変な教師だな」
「教員歴は長そうだけどね」
積極的に生徒同士の諍いに積極的に干渉してくるようなタイプには見えないけど、こちらからの要望や巻き込めばそつなくこなしそうなので、ある意味悪くない第一印象ではあった。
「どうせなら、女の先生が良かったなぁ。めっちゃ美人の人いただろ?」
岡田の言葉に少し考えてから、そういえばやけに男子がチラチラ見ていた若い女性の教師を思い出す。
「そういえば居たね」
「春斗は好みじゃなかったか?」
「あんまりかな」
思い返すと確かに男ウケの良さそうなタイプに見えはするけど、俺からすれば惹かれるものはないかな。
何にしても、良識のある人なら、年下好きでもなければ、相手にされるわけもないし、淡い期待を抱いてそうな男子達には是非とも頑張って欲しいものだと野次馬根性を見せつつ、席を立つ。
「ゲーセンでも寄ってく?」
「んー、今日はいいかな。図書室に行きたいし」
「そっか。んじゃ、また明日な」
そう言いながら、何人かの生徒に誘いをかけて遊びに行く岡田。
旧知の間柄のようなナチュラルな誘い方とそれに対しての違和感のなさ……やはりコミュ力高めなので、仲良くなるのは悪くなさそうだと思いながら、チラリと水瀬さんに視線を送ってから図書室へと向かう。
わざと聞こえるように話していたし、これで来てくれればいいけど……まあ、ダメなら明日の朝また会えるように努力すればいいかな。
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