第4話 気になるあの子

そのまま、二人で学校に到着するけど、クラス割りを見て思わず二人で苦笑する。


「同じクラスみたいだね」

「そうですね」


1学年、4クラスなので、被ることが決してないとは言いきれなかったけど、気になる子と同じクラスになれたのはラッキーなのかもしれない。


「教室まで一緒に行く?」

「いえ、クラスの方に誤解されるかもしれませんし……」


それを言ったら一緒に登校した事も誤解されるかもしれないけど……本人が気づいてないなら言う必要もないかな。


「それもそうか。じゃあ俺は少しのんびらしてから行くよ」

「はい、ではまた」


ぺこりと頭を下げてから校舎に入っていく水瀬さん。


「うーん、悩ましいなぁ……」


その後ろ姿を見送ってから、思わず呟いてしまう。


さっきから彼女を妙に意識している気がする。


こんなに単純な性格だっただろうかと、自分に呆れつつも、真面目で真っ直ぐなあの性格が好ましいのも事実なので、高校生活が楽しくなりそうな予感に思わず微笑んでしまう。


「春斗」


さて、そろそろ行っても大丈夫かなと思っていると、ふと聞き覚えのある声に思わず振り返る。


「なんだ、和樹かずきか」

「一応先輩なんだけどなぁ……」


そう苦笑するのは、俺の幼なじみで、一学年上の先輩にして、この学校の生徒会長の常和和樹ときわかずきであった。


「これは失礼しました、常和先輩。それとも生徒会長とお呼びした方が?」

「うん、君にそう呼ばれると気持ち悪いから、二人きりだったら普通にしてて欲しいかも」


敬語と敬称を使った途端にそんな事言うなら、指摘しないでも良かっただろうに。


まあ、いくら幼なじみとはいえ、学校では先輩後輩だしその辺は俺も弁えてるけど、それにしても……


「入学式は生徒会主催だろ?こんな所で暇してていいのか?」

「皆、優秀だからね。時間が空いたし折角だから、幼なじみの顔を見ようと来たんだけど……さっきの子は彼女かな?」


からかうようにそう尋ねてくる和樹。


「今はクラスメイトだよ」

「へー……今はねぇ……」


少し驚いたような表情を浮かべる和樹だけど、幼なじみとしてそこそこ付き合いのある和樹からしたら、俺が水瀬さんに興味のあるような素振りを見せてる時点でびっくりなのだろう。


まあ、これまで女子と恋バナで盛り上がったことはあっても自分の恋バナなんてものはまるで無かったから仕方ない反応だけど……それよりも、俺としてはチラホラ通る生徒の視線が気になってしまうので、早くこの場を去りたかった。


カリスマと実力のある和樹は、容姿においても優れてるので一緒に居ると視線が集まるのが難点かもしれないと思いつつ、軽く和樹と話してから教室へと向かうのだった。









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