クソ真面目な堅物委員長をデレさせたい
yui/サウスのサウス
第1話 委員長をデレさせたい
「ちょっと!岡田くん!漫画を持ち込むのは校則違反ですよ!没収します!」
クラス委員長の
頭にクソがつくほどに、今どき珍しい真面目ぶりを見せる彼女。
目の前では友人の岡田が漫画を没収されてしまっていたが、確かに校則違反なのでこれは仕方ない。
「全く、こんな物持ち込んで……学校は遊ぶところじゃないんですよ」
「へいへーい」
岡田気のない返事にムスッとしつつも、一応は納得して去っていく水瀬さん。
それを見送ると、岡田は実に不機嫌な表情で言った。
「たっくよ、漫画なんて皆持ってきてるのにな」
「一応校則違反だから、お前が悪いよ」
「なに?水瀬の肩持つの?」
「そりゃ、可愛い女の子が正しいことをしてるんだから味方しない理由はないよ」
「なるほど、正論だな」
さっきまでの怒りを忘れて、納得したように頷く岡田。
アホなのか大物なのか判断に迷ってしまうけど、こいつのこういう所は嫌いではなかった。
「災難だったな、岡田」
「水瀬の奴ウザイよなー 」
「ホント、真面目ぶってさ」
クラスメイトの何人かが、岡田に声をかけてから、クラスメイト達の水瀬さんディスりが始まる。
真面目というのは、良いことだけど、それを良く思わない人は結構多い。
教師に媚びを売ってるとか、良い子ぶるとか、色んな言葉が飛び交う中で、俺はそれを沈める一言を言うことにする。
「でも、水瀬さんの行いが正しいから」
その一言に「そうだけどさぁ」と何とも言えない表情を浮かべるクラスメイト。
「なんか、春斗ってやたら水瀬さんの味方するよな。水瀬のこと好きなのか?」
「うん、愛してるよ」
サラッと告げたその一言に一瞬の静寂の後……クラス中が騒がしくなる。
恋バナとは古今東西、どんな人でも他人のものなら野次馬根性が生まれやすいものだけど、隠すこともないと俺はタイミング的にも良さげだったのでクラスメイトにカミングアウトしたのだった。
クラスメイトの相手をしてから、俺は適当な理由をつけて、教室から出る。
すると、外で聞き耳を立てていたのか、ビクンと驚いたように座り込んでいる水瀬さんを発見できた。
彼女が外で聞き耳を立ててると分かっていたから、あえてクラスメイトに話したのだけど……真っ赤になっているその様子からちゃんと聞かれていたのだろうと分かり俺は微笑んで言った。
「大丈夫?水瀬さん」
「あ、あの……えっと、あの……はぅぅ……」
真っ赤になってあわあわしている水瀬さん。
いつもの凛とした様子からは想像もつかないその様子は心底可愛い。
そんな訳で……俺、
いや、多分世界一愛してると断言できたりするかもしれない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます