第2話 家では飼えない

 私、坂平美咲さかひらみさきは猫大好き人間である――が、家で猫は飼っていない。

 ――いや、飼えないのだ。


 彼が、

 猫アレルギー、

 だから。


 彼とは高校のときから付き合っていて――自慢じゃないけれど、熟年カップルのようにお互いのことはもう、知り尽くしている。自慢じゃないけれど。

 だから私は、彼が猫アレルギーだということを知っているし。

 彼は彼で、私が猫派で、猫大好き人間だということを知っているのである。


 …………はぁ。なんだかなー。やんなっちゃう。


 彼とは一生を添い遂げたいし、一生仲良く暮らしたい。だから、私一人の要望なんかで波風を立てたくない。

 でも。

 でもでも。

 それでも私は猫を飼いたい。いや、触るだけでもいい。


 だから私は熟考する――。



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