backbone-drops
穂津実花夜(hana4)
第1話
「住む世界が違う」とはよく言ったもので、そこに至らなければ見ることができない景色、実際に足を踏み入れなければ出逢うことすらない人達。知らないままなら知り得ない世界。当たり前の様だが、ほとんどの人達が忘れている。もしくは何かによって忘れさせられているのかもしれない。隣は何を……
◇
賽の目状に入り組んだ繁華街の喧騒を背中に感じながら、やけに細いしなやかな影を追いかける。角を一つ曲がる度に陽の光も一つずつ遮られ、その路地裏では赤みを帯びた街灯だけが
「あの……どこまで……」
不安だけが増していくような情景の中を、スタスタと、いや、スルスルと音も立てずに進む
「ああ、ごめんなさい。歩くの早かったですか?」
「いや、そういうワケでも無いんだけど……」
「もしかして、怖気付いたとか?」
「そんなわけなっ、いです……よ」
「ふふっ、まあ、ここまで来たらどっちみち帰れないんですけどね?」
「まじか……」
こんな「如何にも」な場所に一人取り残されたらたまったもんじゃない。
「ほら、もう着きますから」
ここはあの街の最終地点なのだろうか。もしくは、
小さな広場を囲うように並ぶ建物は、廃墟と呼ぶには新しく、かといって今現在も生きているとも言い難かった。彼方此方で消えかけているネオン管がチリチリと「如何にも」な音を立てている。
「ここは、もう、魔界……かな?」
「それはあながち間違えではないですよ」
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