第14話 オルの気持ち
「アナタ、
「お前……
「……いやその」
確かにオルは
「稼げるレア職業じゃないの」
「貴族どころか、王族にだって召し抱えられるぜ」
「凄いじゃない、大金が稼げるわ」
「お前、フラフラと旅の吟遊詩人なんかやってる場合かよ」
そうなのだ。
全て音楽の聴こえるところに居る集団に効力を発揮する。
100人の兵隊が1000人分の力を発揮する。
そう言われているのだ。
だけど、オルは。
「僕は……音楽家です。
兵隊じゃない。
戦いのために僕の音楽を使うなんてまっぴらなんです!
冒険者ならまだしも。
貴族や王族に仕えて戦争の道具にされるのだけはイヤです!」
数人でチームを組んで魔物と戦う冒険者。
危険な場所を旅したり、旅の金を手に入れるため、冒険者チームに入った事は何度かある。
それもホントはあまりしたくは無い。
自分の身を護るために戦うのは仕方無い
だけど報酬金を手に入れるため次々魔物を倒す冒険者も、オルにとってはあまり歓迎したくない仕事なのだ。
と言いつつ、オルの持っている
そんな話を聞いている三つ子たち。
オルの言ってる事が理解できているのかどうか。
そっかー。
シショー、戦うのキライなんだ。
キライなモノ無理強いしちゃダメだよね。
……じゃぁ……
俺たちだけで……やっちゃおうか。
ニヤッと子供たちが笑顔を浮かべる。
「なるほどな」
オヤジさんがオルの肩を叩く。
「確かにな、オルの言葉は正しいぜ。
変に貴族だ、王族だと舞い上がっちまった俺が悪かった」
「そうだよね。
アナタの音はキレイな音だもの。
戦いに向いてる筈が無かったわ。
アタシも悪かったよ」
「オヤジさんも奥さんも……謝る事なんて無いよ。
確かにね。
音楽だけで食べて行こうなんて贅沢な事さ。
そこまで僕に才能があるかなんてワカリャしないし。
でも僕はやれるトコまでやる気なんだ」
「分かった、頑張れよ」
「ええ、アナタならきっと大丈夫よ」
オヤジさんと奥さんと笑顔を浮かべる。
オルも心からの笑顔を浮かべてしまう。
だけど。
「あらっ、あの子たち何処にいったのかしら?」
「うん? さっきまでその辺で騒がしくしてたのに。
一人もいないじゃねーか」
「あれっ……
どこ行ったの?
出ておいでー」
「まさか……あの子たち……」
「まさか……アイツら……」
「「子供だけで鉱山に行ったんじゃ?!」」
えええええええええええええっ? ウソー!
何てこと、なんてこと。
顔が一気に蒼ざめるオルである。
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