第6話 対抗心のムキデレラ
「そうだ、お姉さん方」
「……なに?」
二人は何故か疲れきってました。いつものビブラートすら出来ないほどにぐったりしておりました。
「私も武道会へ出てみたくなりました」
「はーーーーーん????あんたが舞踏会へ????頭沸いてるの?????」
「寝言は寝てから言いなムキデレラ!!!!舞踏会はね!!!招待状が来た人しか行けないのよ!!!!」
「私には来ていないのですか?」
確か16歳の女子が招待されたと言っていたけれど。
そう言えば。
「あんたがムキムキの筋肉ゴリラだから女だと思われなかったんじゃないのォォォォ????ちがう!別に見せ付けろだなんて言ってない!!!ポージングするな!!!」
「だいたいあんたがドレスとか似合わないのよ!!!コルセットもはち切る癖に!!!私見たんだからね!!!庭でポーズ決めて上着を筋肉の膨張で弾き跳ばしていたの!!!やめなさいよ!誰も決めポーズが見たいなんて言ってないでしょ!!!」
ふむ。なるほど、武道会はドレスコートがあるようです。
確かにムキデレラはそれ用の服を持っておりませんでした。かといってこの服装で出場するのも場違いな気がします。
「なるほど分かりました。今回は辞退します」
「「へ?」」
大人しく引き下がったムキデレラにお姉さん達は肩透かしにあった気分でしたが、ムキデレラが来ないと確定したので大層喜びました。
それを横目で見ていたムキデレラ。
確かにライバルが減ったら喜ぶわよね。
しかし、どんな武道会なのかしら。
そんな感じで武道会に思いを馳せながら、ムキデレラは変わらない日々を過ごし、遂に武道会の日がやってきました。
窓の外から馬車が到着するのが見えました。
ムキデレラは思いました。
あの馬、うちの馬より筋肉ないな、と。
思いながらもムキデレラは言い付けられた仕事をこなします。
メガホンを口に当て、馬車が到着したことを知らせます。
「馬車が到着しましたよオオオオオオオオオ!!!!!」
ビリビリと扉が振動し、少ししてから各部屋からシンバルやらホイッスルが鳴り響きます。
了解の合図のようでした。
お義母さんの言うにはムキデレラに対しての対抗心らしいですが、良く分かりませんでした。
「あー、耳がキンキンする…、シンバルは止めるわ…」
「ホイッスル良いわよ。手軽だし」
「そうするわ…」
豪華に着飾ったお義母さんとお姉さん達が部屋から出てきました。
なるほど、これ程ゴージャスにしないと武道会へは出られないのですね。
頭のトゲトゲは頭突きに最適。足元のヒラヒラは重心を悟られない為。高いヒールは蹴りの時に多くのダメージを与える為。
なるほど、参考になる。
「ふふん!羨ましいでしょムキデレラ!」
「あんたには一生縁の無いものよ!」
お姉さん達が話し掛けていましたが、ムキデレラはドレスをまじまじと見詰めました。
「ふむ。これはなかなか戦闘力の高い。もしや武器は扇子…、ああ、鉄扇というのかありましたね」
「「?????」」
「はいはい行くわよ貴女達!いいわね!ムキデレラ!!お願いだから大人しくしててね!!絶対に余計なことはしないで!!!」
「分かりましたお義母さん!!」
そうして三人は馬車に乗って武道会へと向かいました。
私も立派な服があったら参加できたのでしょうか。
まぁ、戦うメイドの募集はこれからも定期的にありそうですし、次に備えて鍛えますかとムキデレラはお庭へと向かいました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます