第79話

 俺はワイバーンやキングベアー、キングボアを倒した後追加で依頼を頼まれて大量の魔物を倒した。


 一切苦戦しないし英雄より弱い相手だった。

 奈落のダンジョン最深部にいる魔物とそこまで変わらない程度の強さだ。



 そして回復魔法を使い村人を癒し、壊れた道路を直し、魔石の洞窟に帰る頃には魔石の洞窟がある城を出てから半年が経っていた。




 俺はステータスを開く。





 アキ 人族 男

 レベル    53【+2】

 HP   630/630【+20】

 MP   630/630【+20】

 攻撃 630【+20】

 防御   630【+20】     

 魔法攻撃 630【+20】

 魔法防御 630【+20】

 敏捷   630【+20】

 ジョブ ものまね士   

 スキル『ダブルナックル★』『クロススラッシュ★』『クロスフィニッシュ★』『ものまね極★』『スライムウエポン★』『縮地★【NEW!】』『空歩★【NEW!】』『短剣レベル10』『剣レベル10』『刀レベル10』『槍レベル10』『斧レベル10』『体術レベル10』『弓レベル10』『投てきレベル10』『炎魔法レベル【4→10】』『水魔法レベル4』『風魔法レベル5』『土魔法レベル4』『光魔法レベル【3→10】』『闇魔法レベル10』『錬金術レベル10』『HP自動回復レベル10』『スタミナ自動回復レベル10』『瞑想レベル10』『訓練効果アップレベル5』『身体強化レベル10』『速度強化レベル10』『隠密レベル10』『感知レベル10』『分析レベル10』『暗視レベル10』『遠目レベル10』『透視レベル10』『採取レベル5』『運搬レベル5』『ストレージレベル5』『騎乗レベル6』




 光魔法がレベル10になると、他の魔法を使う機会が減った。

 光と闇属性さえ覚えておけば何とかなった。

 一応炎魔法だけは上げつつ魔物を倒したけど、上げなくても今の所困っていない。

 落ち着いたら固有スキルの特訓をしたいな。

 



 そんな事を考えながら城に向かうとプリンが出迎えた。

 プリンが少し寂しそうな表情をしていた気がしたが、気のせいだろうか?

 そう言えば半年ぶりの帰還か。


「お帰り」

「ただいま」

「長かったのね」

「そうだな、ゆっくり話そう」

「そうね!」


 プリンは俺の手を取って走った。

 プリンの表情を見て子供の頃を思い出す。


 前より距離が近くなった気がする。


「その前にサウナに行って来る」

「分かったわ。こっちよ」

「ん?場所が変わったのか?」

「今日はこっちなの!」


「そ、そうか」


 俺は小さめのサウナに案内されてサウナに入る。


「おお!小さいけど良い雰囲気だ」


 灯りが少な目でしっかり作りこまれている。

 風呂や水風呂もあり、1人で使うには十分すぎるほどだ。

 ん?プリンが入って来る?



 プリンがタオルを巻いて入って来た。

 プリンが本当に小さかった頃以来だろう。


「一緒に、入りましょう」


 いっしょに、だと!

 あの恥ずかしがり屋のプリンが一緒に!

 しかも恥ずかしそうにもじもじしている。

 可愛い。


「入ろう」


 俺の修行も一段落ついた。

 俺はやる時はやる男なのだ。


 無言で2人、サウナ室に座る。


 言葉はない。

 でも、この空間が心地いい。


 プリンが俺の手を握った。

 そして俺から顔を隠すように向こうを向きながら言う。


「私ね、嘘をついたわ」

「嘘?何がだ?」


「ここは私用のサウナなの、他に人は入ってこないわ。ここってあまり人が来ないの。アキと2人だけになる為に呼んだのよ」


 プリンは俺の前に立った。

 そして自分が巻いていたタオルを下に落とす。

 無理をして俺に体を見せているのが分かる。

 プリンの顔が真っ赤で今にも倒れそうだ。


「私ね、アキ……」


 倒れそうになるプリンを抱きかかえた。

 本当に倒れた!

 

「一旦出よう」

「ご、ごめんなさい」


 俺はプリンを拭いてベッドに寝かせた。


「大分、落ち着いてきたわ」

「良かった」

「今日は、一緒に話をしましょう」


「分かった」


 俺はここを出てから戻るまでの話をした。

 プリンはその間に顔色が良くなり完全に復活した。




 俺の話が終わるとプリンはため息をついた。


「はあ、アキは大活躍だったのに私はうまくいかないわね」

「ん?」

「私は無理をして頑張ってうまくやろうとしたわ。でも、倒れてグダグダになったわ」


「プリン」

「何?」

「最後良ければすべてよしって言葉、知っているか?」


 プリンの目が俺の下半身に釘付けになった。


「プリン、足を、広げてくれ」

「は、はひ!」


 返事をするプリンの声が裏返った。




 ◇




 チュンチュンチュンチュン!


 昨日は、プリンを滅茶苦茶にした。

 いつも恥ずかしがっているプリンがあそこまで無理をして倒れて、ため息をついたプリンの顔はとてもきれいでため息をついても絵になった。


 プリンと1つになる日が来るとは思わなかった。

 

 不意打ちのようなプリンの行動。


 無理をして横を向きながらタオルを下に落とすプリン。


 すべてが良すぎた。


「ううん、アキ?」

「おはよう」


 とろんとしたその眼も、良い。


 その時ガチャリと部屋のドアが開く。

 チョコが笑顔で入って来た。


「おはようございます。おめでとうございます!お嬢様、元気を出してください。完璧なムーブでしたよ。落ち込む必要はありません!」

「い、い、いいい、いつから聞いてたのよ!」


「そうですね。そう言われてしまうと私はお嬢様のように嘘をつくことは出来ません。頑張ってアキ君をここに連れ込んでタオルを落として倒れて結果うまくいった所までですよ」

「全部じゃない!」


 実は気づいていたけど無視をしていた。


「お嬢様のお声はかわいらしくてよかったですよ。あれは男を狂わせる魔性の声です。恥じらいながらそれでも漏れ出る女の声が最強だと思うんです。さ、シーツを洗濯しますよ」


 プリンはシーツを丸めてチョコの顔に投げつけた。

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る