第11話

【13才】


 俺はアルケミストから色々教えてもらった。

 毒を飲んでHPを削り、HP訓練をするなど、普通の人間ならやらない行動を取る事もあったけど、俺のステータスはオール100になった。

 やっと腕輪を外す事が出来た。


 鍛冶・大工・調合・道づくりと錬金術に必要な基礎知識はすべて教わった。

 食べられる草や実、魚の取り方も教えてもらったし、運搬を毎日続けてストレージのスキルも覚えた。


 全部アルケミストのおかげだ。


 屋敷に住む護衛のみんなは必ず1つはレベル5の攻撃スキルを持っていた。

 それもすべてものまねで覚えた。

 正直色んな武器を使いこなせても持てる武器の数は限られている。

 使わないかと思ったがそれでも覚えられるスキルはすべて覚えた。


 振り返るとスキル取得の訓練より能力値を上げる訓練に時間を使っていた。




 アキ 人族 男

 レベル      1

 HP 110/110【+48】

 MP   110/110【+40】

 攻撃 110【+50】   

 防御   110【+52】

 魔法攻撃 110【+52】

 魔法防御 110【+52】

 敏捷   110【+34】

 ジョブ ものまね士   

 スキル『ものまねレベル【5→7】』『短剣レベル5』『剣レベル5【NEW!】』『刀レベル5【NEW!】』『槍レベル5【NEW!】』『斧レベル5【NEW!】』『弓レベル5』『投てきレベル5』『炎魔法レベル3』『水魔法レベル3』『風魔法レベル【3→5】』『土魔法レベル3』『光魔法レベル2』『闇魔法レベル2』『錬金術レベル7【NEW!】』『HP自動回復レベル5』『スタミナ自動回復レベル5』『瞑想レベル5』『訓練効果アップレベル5』『身体強化レベル5【NEW!】』『速度強化レベル5』『隠密レベル5』『感知レベル5』『分析レベル5』『暗視レベル5』『遠目レベル5』『透視レベル5』『採取レベル5【NEW!】』『運搬レベル5【NEW!】』『ストレージレベル5【NEW!】』



 訓練効果アップのレベルが5から上がらない。

 アルケミストの裏技訓練が影響しているのだろう。


 身体強化は戦士系のスキルだ。

 発動する事でMPが減り続けるが、攻撃力と防御力を上昇させることが出来る。

 斥候の速度強化と併用する事で攻撃力と防御力を上げつつ、敏捷も強化出来るが、MPの消費が激しくなるデメリットもある。


 ものまねと錬金術だけはレベル5の壁を突破した。

 ものまねは色んなスキルをものまねして、錬金術はポーションや家、靴や服、武器から魔道具まで作成した。

 ものまねと錬金術はやるバリエーションが多く飽きることが無かった。


 ものまねレベルは皆から驚かれるほど上昇し、効果も高まった。

 相手のスキル使用を目視する事で取得できる経験値が700%アップする。

 相手が使用したスキルをマネする事で取得できる経験値が700%アップする。

 レベル・スキルレベル5を超えるレベルアップに必要な経験値が2倍となる。


 必要経験値が2倍でも経験値が+700%になっているので余裕でスキルレベルは上がる。

 問題は高レベルスキルを持つ者を見てものまねをしないとレベルが上がらない点だ。


 ものまねをする相手の剣レベルが5だった場合、俺の剣レベルが5になってしまえばものまねを発動しても効果を得られない。

 これもものまね士が器用貧乏と言われる理由の1つだ。


 錬金術は武器作りが飽きれば道を作り、父さんと母さんが住む家を作ったら次はポーション作る。

 色々やる事が多く飽きることが無かった。

 それと、アルケミストは錬金術レベルが高かった。

 そのおかげでレベルを上げることが出来たんだと思う。


 目的だったスキルをすべてレベル5に上げるは魔法以外達成出来た。

 その上で冒険者としてやっていくとしたら何が必要か考えた。


 次はレベルを上げよう。

 いまだにレベル1なのはバランスが悪すぎる。

 レベルアップに必要な経験値が2倍だけどそれなら2倍の魔物を倒すだけだ!


 屋敷の前で皆アルケミストを見送る。

 結局アルケミストは誰にも本当の名前を言わなかった。


「俺、アルケミストのおかげで助けられたよ」

「それは私の方だ」


「これからどこに行くんだ?」

「村を回りつつ素材を集めて王都に帰る。もう会う事は無いだろう」

「そっか。素材なら渡そう」


 アルケミストは両手を前に出した。


「迷惑料替わりだ。受け取らない」

「世話になったんだ」

「その素材はアキの役に立つ。では、元気でな」


 アルケミストが笑った。

 笑う顔を初めて見た気がする。


「ポーションを作ってくださりありがとうございます!」

「私の武器もありがとう!」


 チョコとプリンが手を振る。

 アルケミストは振り返らず、そのまま歩いていった。




「さて、そろそろ一緒に魔物狩りをしませんか?」

「今準備している事があって、それが終わってから行くんだ」


「え?最近手裏剣や弓矢を大量に作ってたよね?」

「まだ準備不足だ」

「いやいや!戦争でもする気かってくらい準備してましたよね?」

「まだ準備不足なんだ。それに色々試してからになる」

「そうなの?」

「そうなんだ」


「しばらくはアキ君抜きで魔物狩りをしましょう」

「うん」


「その前にアキ君、大丈夫だと思いますが今の時期は跳ねうさぎの繁殖期です。100体以上の跳ねうさぎが密集しているので草原には近づかないようにしてくださいね」

「そうか、繁殖期なのか」





【プリン視点】


 アキがにやりと笑った。

 行かないと言わずに笑った。

 絶対に何か企んでる。


 最近アキと話をしていない。

 また何かを作り始めてる。

 1日、3日、7日が経ってもまだ準備中って言われた。


 何を作っているんだろう?

 丸太を繋ぎ合わせて、家かな?

 よく分からないけど、アキが意味の無い事をするようにも思えない。


 急に毒を飲み始めたと思えばHPが上がったり、呪いの腕輪をつけたと思えば能力値がすべて+100になっていた。

 重い荷物を持って魔物と戦いに行く生活を続けしばらくすれば希少なストレージのスキルを覚えていた。

 大量の泥で遊んでいるかと思えばレンガを作って家を建てていた。



「お嬢様、アキ君が村の外に出かけていきましたよ。草原の方向に向かっていきました」

「……やっぱり」

「アキ君は、天才肌というか、何をするか分からない所があります」


「追いかけるわ!」

「追いましょう!」


 アキを追うと繁殖中の跳ねうさぎがいる近くまで隠密で移動した。

 そしてストレージで何かを出した。


「「やぐら!」」

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