第3話

 俺は5才になった。



 アキ 人族 男

 レベル    1

 HP 10/10

 MP   0/47 【+30】

 攻撃 10    

 防御   10   

 魔法攻撃 25【+14】

 魔法防御 15【+4】  

 敏捷   10

 ジョブ????    

 スキル『瞑想レベル【2→3】』『水魔法レベル【1→2】』『炎魔法レベル2【NEW!】』




 2年間毎日魔法訓練を続けた。

 魔法を使う事でMPと魔法攻撃が上昇し、瞑想で魔法防御が上昇する。

 最近はつぼに水を補充したり、樽に水を入れて炎魔法で温かくしてお風呂の用意をする係になった。

 いい練習になる。

 

 外で寝ころんで瞑想するふりをしつつ半目を開けて隣の塀を見る。

 塀の上からエルフの女の子が顔を覗かせて俺を見ていた。

 可愛いな。


「こんにちわ」


 女の子が隠れる。


「お嬢様、隠れちゃ駄目ですよ」

「だって、急に話しかけてくるから」


 塀の中から声が聞こえる。


 エルフの若い女性がエルフの女の子をおんぶして俺の前に歩いてきた。

 後ろの女の子を見つめると隠れた。


「こんにちわ。私の名前はチョコです」


 メイド服を着た15才くらいの女性が礼をする。

 その瞬間に胸がプルンと揺れた。

 大きい。

 チョコレートのようなブラウンの長い髪と瞳。

 そして白い肌と上品なしぐさに清楚な印象を受けた。


「こ、こんにちわ」


 チョコの後ろに隠れながら女の子が声を出す。


「こんにちわ。俺の名前は……私の名前はアキです。お見知りおきを」


 そう言って礼をした。


「ふふふ、無理に敬語を使わなくていいんですよ。お嬢様も自己紹介をしてください」

「私は、プリンよ」


 金髪の長い髪をサイドテールで束ねている。


 金髪幼女のプリンとブラウン美人のチョコか。

 おいしそうな名前だな。

 エルフなだけあってどっちも美人だ。

 2人共肌が白くてきれいだ。


「よろしくお願いします」

「無理に敬語を使わなくていいんですよ」

「私は平民ですから」

「敬語は良いんですよ」


「平民」

「敬語は禁止ですよ」


 チョコさんは笑顔。

 でも譲らないようだ。


「うん、分かった」

「いつも訓練してますよね」

「魔法がかっこいいと思って」

「ふふふ、そうですね。カッコイイと思いますよ」


 そう言ってチョコが俺の頭を撫でた。


「でも最近魔法の訓練も飽きてきて、体を動かすスキルも覚えたいなあ」

「いいですね。今日から屋敷で訓練をしましょう。アキ君はお嬢様と同じ5才ですからいい刺激になると思いますよ」


 この村は人間関係が密で大人は村人全員の顔を知っている。


「ちょっと休んでからでいいかな?MPが無いから休んでからにしたい」

「キスで補充してあげますよ」


「え!」

「え?」

「チョコはいつも冗談ばかり言うの。気にしない方がいいわ」


「そ、そうか。そうだね」

「私はキスをしても良いんですけどね。もう少ししてから一緒に訓練開始ですよ」


 俺はしばらく休んだ後屋敷に向かった。




 俺は地面に寝転がる。


「はあ、はあ、はあ、もう、苦しい」


 3人で屋敷の周りを走り、俺は真っ先に脱落した。


「運動不足ですね」


 チョコとプリンは俺が寝転ぶ中、屋敷の周りを何週も走る。

 運動不足か。


 ダッシュが終わるとプリンが勝ち誇った笑みを浮かべる。


「ふふん、私の勝ちね」

「そうだね。運動不足だ」

「走ると敏捷だけじゃなく、HP・攻撃・防御も少し上がります。基礎訓練の基本ですよ」


「そっか。明日から走ろうかな」

「良ければ明日から一緒に走りましょう」


 その日から3人で一緒に走るようになった。




【6才】


 俺は午前中は魔法と瞑想をし、午後は毎日屋敷の周りを走った。

 俺は1つの事を続けるのが向いていないのか走るのも飽きてきた。


 ステータスを開く。




 アキ 人族 男

 レベル    1

 HP 15/15【+5】

 MP   31/57【+10】

 攻撃 16【+6】    

 防御   13【+3】  

 魔法攻撃 35【+10】

 魔法防御 22【+7】  

 敏捷   40【+30】

 ジョブ????    

 スキル『瞑想レベル3』『水魔法レベル【2→3】』『炎魔法レベル【2→3】』『スタミナ自動回復レベル1【NEW!】』




 ステータスの伸びが悪くなってきた。

 同じ訓練を続けると効果が落ちるらしい。

 まるで筋トレのようだ。


 でも、毎日走ったおかげでスタミナ自動回復を覚えた。

 このスキルを覚えたおかげか寝起きが良くなった。


「アキ君、もう飽きてますね?」

「飽きた」

「アキはそう言う所があるわね」


「お嬢様もサボる癖がありますよ」

「そ、そんな事は無いわ」

「い~え!アキ君がいるおかげで走り込みはしますが他の訓練に身が入っていません。アキ君、そろそろ別の訓練もやってみませんか?」

「やる!」


 俺達はすっかり馴れて普通に話をするようになっていた。


「明日から訓練を追加します。それはそうとお風呂に入りましょう」

「体がべたべたするわ」


 俺達はすっかり馴れた。

 一緒にお風呂に入るほどに。

 チョコと一緒にお風呂に入る至高の時!

 俺は今6才の子供、そう、子供なのだ。


 この調子でプリンが大きくなれば尚いい!

 絶対美人に成長する!


 3人で服を脱いでお風呂に入る。


「ふふふ、アキ君はお嬢様より私の体が好きなんですよね?」


 チョコが俺をからかう。

 そしてその瞬間にプリンの頬が膨れる。


「私も大きくなったら凄いもん!」

「えー!どうですかねえ?」


 しばらく一緒にいて分かった。


 チョコは清楚に見えていたずら好きだ。

 そしてプリンはお嬢様っぽく見えるけど負けず嫌いで焼きもちやきだ。

 でも、2人とも優しい。

 俺はこのゆっくり流れるような生活が好きだ。

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