甘美な誘惑
甘いもの。それは内側から幸福感を滲ませてくれるもの。
私は甘いものがないと生きていけない。昨日は新作のアイスを食べたし、今日は生クリームが入ったミルクティーを飲んだ。そして必ず、明日も甘い何かを口にする。
世の中に溢れる甘いものの中で、最もよく食べられているのはやはり、チョコレートではないだろうか。
かくいう私も最近よくココアを飲んでいる。
朝起きて、眠たい目をこすりながら冷蔵庫からミルクを取り出し、小さめのマグカップに半分くらい注ぐ。電子レンジで温めたら、もくもくと湯気が出ているミルクの中に目分量でココアの粉を入れ、混ぜる。このとき、ティースプーンがマグカップに当たってコトコトと音がするのが好きだ。
温かいココアを三口、ゆっくりと味わうと、残りは出かける準備をしながらちびちびと飲んでいく。
チョコレートを口にすると、こころまでもとろんと甘くなるような気がする。
しかし困ったことに、チョコレートは一度口にするともうひとつ口に放り込みたくなってしまう。その誘惑に負け、ふたつ目を口にすると、みっつ目が欲しくなるのだ。気づくと私の前には、空き箱がひとつ、所在なさげにたたずんでいる。
かつてチョコレートは、神様の食べ物であった。それほど高価で、選ばれた人だけが食べることのできる、特別なものだったのだ。当時のチョコレートは、チョコレートというよりもカカオの飲み物といった風で、苦みが強くどろっとしていたそうだ。それが西洋にもたらされ、ミルクや砂糖が加えられたことによって今のチョコレートの原型ができたという。
チョコレートについての研究で、興味深い記事を読んだ。チョコレートを食べたときと麻薬を摂取したときに働く脳の領域が同じであるというのだ。その領域からある化学物質が放出されるために、麻薬もチョコレートも、繰り返し欲するようになってしまうメカニズムになっているのだ。
つやつやと輝くチョコレート。それは人を誘惑する、甘美なもの。
その魅力から離れることができない私は、すでにチョコレートの虜。
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