【実話】マッチングアプリぼったくりバーの男の末路
ピーナッツ
第1話 裏社会の人間
店員
「ありがとうございます。」
「お会計58,000円です。」
客
「58,000円!?」
「・・・お前グルだろ!」
女
「・・・。」
俺の名前は西海翼
27歳、実家暮らし、
高卒、フリーター(ガールズバー勤務)
時給1000円、交通費なし、才能なし
まー簡単に言うと
【社会の底辺】
これはそんなクズ男が欲望のために
犯罪を犯していく物語だ
====================
西海
「ガールズバーいかがですかー?」
「飲み放題3000円でーす」
優香
「ねー寒すぎ、まじ限界。お店戻ろうよ」
西海
「そうだな、15分休憩しようか。」
2014年2月深夜2時、気温1℃
コンクリートからの冷気が革靴を伝って
足が凍ったように動かなくなる。
簡単にいうと氷の上に裸足で立ってるような感覚だ。
優香は18歳。
モデルを目指して上京してきた。
可愛くて元気で愛想がいい、
お客さんにも人気の子だ。
俺も優香が好きだが、
釣り合ってないことくらいは自覚している。
西海
「うわー店あったけぇ」
小宮山
「お疲れっす、人通りあります?」
西海
「全然ないねー」
小宮山はこの店の店長をしている。
社長の地元の後輩で歳は20歳。
雰囲気はLDH系で弁がたつタイプで
接客が得意だ。
なぜ敬語かというと
俺は社長が会社を立ち上げた時のメンバーのひとりだったからだ。
年齢も上だし、出戻りということで気を遣ってくれているのだろう。
小宮山
「もう少ししたら10人くらいで社長来ますよ。この前話してた例の人連れてくるみたいです。」
西海
「マジかー、来たら1回店内戻るよ。」
社長は俺と同じ27歳でこのガールズバーの他に芸能事務所を経営している。
全身に和彫の刺青が入った強面な男だ。
地元では名の通ったヤンキーだったらしい。
基本的には優しいがキレたら、ヤバい。
小宮山
「挨拶して客引き戻る感じですか。」
西海
「うん、タイミング見て出るわ。」
小宮山
「西海さんってマジで接客嫌いっすね。」
俺は接客が嫌いだ。
コミュ障ではないし、笑顔も作れる、
それなりに会話もできる。
ただ人に興味が全くない。
表情も会話もその場しのぎの偽物だ。
だから疲れるので
率先して客引きをしていた。
俺は高校卒業後、都内の中堅私大に入り、
2年で中退した。
その後社長の会社に入り2年ほど働いたあと
職を転々としてニートになっていた。
ガチャ
小宮山
「あっ社長、お疲れ様です!意外と早かったですね!」
西海
「お疲れ様です!」
社長
「お疲れ様、寒いから大変でしょう。これ良かったらみんなで飲んで」
西海
「ありがとうございます!」
社長が連れてきたのはいかにも
悪そうな男たちと容姿端麗な女たちだった。
何人かは何度か見たことがあるが
男たちは詐欺をやっているらしい。
モンクレールのダウンに金のネックレス、きらきら輝くダイヤが入ったウブロの時計
ディオールのクラッチバックにルブタンの靴。総額300万は軽くするだろう。
女たちは芸能事務所の売れているモデルだ。
石塚
「おい!クリスタル!秒でもってこい!」
小宮山
「はぁーい!喜んでー!!ありがとうございます!!」
石塚は副社長で輩を絵に描いたような人間だ。高圧的で喧嘩っぱやい。
そして利用価値のない者にはめっぽう冷たい。ただ頭がキレる男であり、目上の人の懐に入り込むのがとてもうまい。
世渡り上手な不良だ。
この飲み会はただの遊びではなく接待だ。
コの字型のソファーの真ん中に座っているのが芸能界に繋がりのあるヤクザらしい。
この店には色々な役割がある。
・ガールズバーとして収益を上げること
・売れていないモデルを働かせること
・犯罪収益を表の金として計上すること
そして今日のように
接待の場所として使うことだ
詐欺をしている男たちはヤクザの案件に社長と石塚が後輩を紹介したのだろう。
芸能の仕事を繋いでもらうための
取っ掛かりとしてまず詐欺の人材を提供して関係作りをする。自分たちに利用価値があることを示すために。
社長たちはどこかで
かなり飲んできているようだ
今日は大変なことになりそうな予感がする。
石塚
「西海!お前なんか適当に出前注文!」
西海
「わかりました。」
俺は石塚が苦手だ。
石塚は俺に利用価値がないと分かっている。
実際にそうだ。
俺は何かに特化した能力があるわけでも、
人脈があるわけでもない。
酒の席を盛り上げられるかと言われたら
それもできない。
面とむかって言われたわけではないが表情、目線、言動でひしひしと伝わってくる。
自分の無力さを感じさせられる
だから苦手だ。
西海
「優香、そろそろ客引き行こうか。」
優香
「そうだね、西海くんがんばろ!」
客引きは寒いし辛い。
ただ店内にいるよりは数倍マシだ。
金や力を持った男たちとそれに群がる女たちの中で俺は虫けら同然の存在だからだ。
その惨めさを感じることは足が凍るより辛いことだった。
客引きに戻り1時間が経ったころ
小宮山からの電話が鳴る。
西海
「もしもし、どうしたの?」
小宮山
「石塚さんが暴れてます。戻ってきてください!」
西海
「わかった・・・。」
またか。内心そう思った。
急いで店に戻ると階段に
数人が集まっている。
その中で後輩の一人が殴られて、
座り込んでいる。
うわーこれは酷い。
目が真っ赤になり、口から血も出ている。
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