愛されたい

八重利

出会いの秋

私は誰にも愛されないと思っていた。これからもずっと。

だから私は愛を知らなかった。

だけど私はある人に会ってわかった。

愛はとても寂しくて、悲しくて、美しく、きらきらとしたものなんだと。





紅葉がふわりと落ちるころ。

私はあるとき先生に呼ばれた。

「佐原乃ー、明日このクラスに入ってくるてんこうせいの名前なんだかおぼえているかー?」

「はい、皇翔輝さんです。」

『記憶力の怪物』このクラスの学級委員、佐原乃 嘉枝。私のことだ。

だからいつものようにみんなに頼りにされるようになった。

私は思った。

(明日来る転校生、どんな方なのだろう…)


翌日

先生「今日はみんな楽しみ転校生が来るぞー。

では、皇君、入って来て。」

私は思った。

(イケメン…だけど私には釣り合わない方だわ…)

翔輝「皇 翔輝。…よろしく。」

みんなは適当に「おねがいしまーす」と答えた。

先生「じゃあ、皇の席は…」

翔輝「先生、俺アソコがいい」

そう言って私の隣をさしてきた。

先生「ああ。いいぞ。いいよな?佐原乃?」

いやいや私の心がお持ちしません。

「いいですよ」

先生「じゃあ、座ってこーい。わからないことがあったらあいつに聞け。」

翔輝「うぃーす」

私の心が持たない。

助けて。

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