第242話 襲撃者、現る
(な、何故だ? 何故、奴がここにいる!?)
春風の不意打ち暴言でダメージ(?)を受けて吹っ飛ばされたモーゼスは、何が起こっているのか、何故自分がこんな目に遭っているのか、全く理解出来なかった。
それでもどうにか立ち上がろうとすると、
「ブワーッハッハッハッハッハ! オイ聞いたかよみんな、『ハギィエエエエエエエッ!』だってよ! 『ハギィエエエエエエエッ!』だってよ!」
と、春風の背後から腹を抱えて爆笑しているギルバートが現れた。
そしてそれに続くように、他の皇族達や春風の仲間達もゾロゾロと現れた。
「な、ど、どうして……」
次々と現れた人達見て、モーゼスはどうにか口を開こうとしていた。
その様子を見て、ギルバートが春風に話しかける。
「オイ見ろよ春風。あのハゲ、お前が
「ええ。そう見たいですね」
春風は呆れたような表情で「ハァ」と溜め息を吐くと、モーゼスに向かって話しかける。
「アンタの『悪巧み』については、アレス教会の皆さんが教えてくれたんだよ」
「な、なん……だと?」
絶句するモーゼスに、春風は
実はモーゼス達がこの帝都に来た時から、何か
そして案の定、モーゼスが春風を暗殺しようとしているのを知ったその仲間は、大急ぎで宿屋を出て、アレス教会本部、更には春風とギルバートに報告した。
最初は先手必勝という事でモーゼス達を捕縛しようという提案が出たが、
「ちょっと待ってください。幾らウィルフレッド陛下とは無関係の訪問と言っても、今それをやってしまうと後できっと面倒なことになるのは間違い無いでしょう」
と、春風が「待った」をかけたのだ。
「なら、どうする気だ?」
と、ギルバートが尋ねると、春風はニヤリと笑って、
「向こうの狙いは俺です。でしたら、俺を
と、「自身が囮になって襲撃者が来たところを捕まえてしまおう」という作戦を提案した。それで上手くいけば、モーゼスを油断させる事が出来るかもしれませんと付け加えて。
そして、運命の夜。
(うわ、ホントに来たよ)
スキル[気配遮断]で自身の気配を消した春風は、部屋の隅で2人の襲撃者がベッドを何度も刺しているところを見ていた。因みに、ベッドの中にはダミーの人形を寝かせてある。
(オイオイ、どんだけ刺してるんだよ。俺、アンタらに何か恨み買われるようなことした?)
呆れ顔で襲撃者達の様子を暫く見ていると、彼らは漸く刺すのをやめた。
2人共黒い覆面をしていたので表情こそ見えなかったが、何処か満足している様子だった。
(やれやれ)
そう思った春風は[気配遮断]を解除すると、
「こんばんは、夜分遅くお疲れ様です」
と、襲撃者達に話しかけた。
「「!?」」
その声に驚いた襲撃者達は、すぐに春風の方を向いたが、
「フン!」
ゴッ!
ゴッ!
「「うぐっ!」」
それよりも早く、春風襲撃者達に一撃入れて、彼らを気絶させた。
するとそこへ、
「オイ、どうした!?」
と、扉の向こうにいたと思われる他の襲撃者達2人も部屋に入ってくると、
「フン!」
ゴッ!
ゴッ!
「「グフゥ!」」
春風は彼らにも一撃を入れて気絶させた。
「よし、これで全員か」
一仕事終えた春風はそう言って、他の襲撃者がいないことを確認すると、
「それじゃ、ギルバート陛下に報告しなきゃ」
と、襲撃者達を縄で縛り上げて、ギルバートに報告しようと部屋を出た。
そして、謁見の間にて、
「ほう、そいつらが襲撃者か?」
夜中であるにもかかわらず玉座に座ってそう尋ねるギルバートに、
「はい。襲って来たのは、この4人だけです」
と、春風はそう報告した。
現在謁見の間には、春風とギルバートの他に、エリノーラら他の皇族達と、水音、イブリーヌ、ディック、そして、歩夢やアデルら七色の綺羅星のメンバー(ただし、イアン、ニコラ、マークは部屋で眠っている)に、凛依冴やアデレード、更に冬夜ら転生英雄3人が集まっていた。
全員が襲撃者達を見つめていたその時、
「ハッ! こ、ここは!?」
と、襲撃者の1人が目を覚ました。
しかし、春風はそんな襲撃者を無視して、
「それでは陛下、こいつらの覆面、取ってしまってよろしいですか?」
とギルバートに向かってそう尋ねると、
「ああ、いいぜ。やっちまいな」
と、ギルバートは春風に「GO」サインを出してそう言った。
「わかりました。では……」
と言って、目を覚ました襲撃者の覆面を取ろうとした。
「や、やめろ!」
女性のような声でそう言ってきた襲撃者を再び無視して、
「それじゃあ襲撃者さん、ご対メーン!」
と言って、その襲撃者の覆面を取った。
そして、
「……あれ? アンタは……」
その素顔を見て、春風だけでなく周囲の人達も驚愕した。
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