第11話

どきっとして振り向くと誰もいない。


恐怖心が俺の脳内を支配し始めていた。


髪を中途半端にしたままベッドに入ることにした。

室内灯をつけっぱなしにした。

ベッドに入ってうとうとしかけた時、パッと電気が消えた。

どきっとし目が覚めたが、何も起きなかった。


電気を点けようと起き上がったとき、どこからか、女の泣き声が聞こえた気がした。


耳を澄ませると、やはり泣いているようだ。


廊下の方だと思った。


そっとドアを開ける。


電気が消えていて暗いが、誰もいないようだ。


声は階段の下からのようだった。


階段まで行って下を見た時、心臓が止まるかと思った。


血まみれの妻が階段を上がってくる。


身体が震えて歩けなくなった、這って電気を点けてもう一度階下を見る。誰もいなかった。


ほっとする間も無く、今度は後ろから女の泣き声が聞こえだした。


寝室からだ。そして電気が消えた。


恐怖に襲われ階段を駆け下り、リビングに備え付けの懐中電灯を手にしスイッチを入れた。

強力な電灯なので周りはかなり明るくなった。


そして二階に向かった。


泣き声は消えていた。


寝室のドアを開けた。


「ギャーッ」 思いっきり叫んだ。

 

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