第1話 東夏口

 某の名はバサーク、東夏口で倉庫番を生業としている馬人族だ、他の馬人族と比べ背は高くないがその分小回りが利くことが自慢だ。特にこの東夏口はトウカ平原等で算出したものや東夏以外の町から運ばれてくる荷物が集められる。


「バザークさんお疲れっす」

そう話しかけてきたのは後輩のバンバだ、背は普通位だが足が太く重量運搬が得意で南側の駱陽ルートで荷物を運搬している。

「バンバ氏こそお疲れ様です、終わったら休んでください」

いつもの場所に荷物を運んでもらい、仕分けと荷造りは倉庫番の仕事なので次の出発まで休んでもらう、これが彼らの日常であり生活である。


「そういえば、バザークさんトウカ台の光が点滅していたので誰か来るかもしれないですよ。」

帰り際にバンバが思い出したかのように教えてくれる

「色の方は変化無さそうでしたか?」

灯台の色の変化は物資の不足および修理の必要性が出た時に起きる、

「出発するときと大差は無かったと思いますよ」

正直な話そこまで見ていないが判るほどの変化が無かったと思う。

「人が来てからで大丈夫そうであるな」

流すように答えるが、こういったさり気ない会話で生まれる心の準備は大切なものだ。


 トウカ口倉庫は大陸一大きく主食である麦の大型倉庫があるが、規模の割に人口は少ない、シドウと西夏口の三角交易でこの大陸の食糧事情の大半を担っていて、トウカ口には馬人族以外も只人族や鋼人族、鱗足人を見る事もできる。

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