四道編 エピローグ 東夏の灯台

 薄い三日月の様な空の下、丘の上にあるずんぐりとした灯台付近で野営をしている。ぱっと見城のように見えなくもないがこの世界に戦の様な物も無く中は人が住むというよりは倉庫として使われている。

 二日目の野営という事で少しは慣れてきたと思ったが、生まれてこの方キャンプなどしたことも無く上手く出来るはずも無かった、今は夕食の後気晴らしに灯台を見に来たという所なのだ。


 近くで見るとより一層お城感が否めないほど漆喰で作られた奇麗な灯台で、所々見られる外壁から突き出た棒は馬人族には意味の無い物だが只人族の俺には上りやすそうだ、内部構造はスロープ状になっていて馬人族でも使いやすそうになっていた。


 そういえば、屋上はどうなっているのだろう、ついぞ見る機会は無かったが昨夜見た時は淡く黄色い光が見えた、遠い海の向こう側に似たような光が見えるが、向こう岸の陸地にある灯台と聞く、下からでは上の様子は解らない。


「おぉ、ここにおったかねぇ」

 マサツグが語り掛ける、暗闇ではシルエット程度でしか解らないが、武骨な皮鎧を思わせるようなコルセットを身に着けているのが判る突き出した胸がマサツグだと主張する。

「マサツグさん、この灯台が気になりまして」

 漆喰の壁から飛び出た棒をさすりながら答える

「この灯台が気になるねぇ……、となるとシドウかその前に寄る東夏口の町にいる只人族の船乗りかも知れないねぇ」

 ややトーンが落ちたように聞こえた気がするが、聞いた事のない町の名前が出たがシドウへ直行ではないのかと思い、

 「東夏口の町ですか?」

 と聞くと、マサツグが横から抱き着いてきて腕を掴むと、

「あの方向にジワリと広がるような光が見えないかねぇ」

 いわれてみると少し明るい様に見えた。

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