第21話 エピローグ

ここはどういう世界なのだろう、青い空の元荷車(というよりは馬車なのだが)に揺られながら思い出していた。


 食事の後、話が事前に決まっていたかの如く出発したのだが、いきなり荷車の後ろに乗せられた。歩いて行こうとしたのだが、

 彼ら馬人族は人を運ぶ事も善行に含まれていて少しでも徳を積まなくてはならないという事らしいのだ、その善行により徳を重ねる事で宝島から子供が来るという。

 徳を積んだだけ優秀な子が来る事があり、折り紙付きもそこに含まれるそうだ。


 そこで、旅に出る際最も気になる路銀(旅費の事)についてそれとなく聞いてみたところ、お金というものは存在しなく徳という名の持ちつ持たれつの関係ですべて成り立っているという、その際の調整にかかる徳というのが高く評価されるので滞る事が無いそうだ。


 普通の人間なら良からぬ事を考えそうなのだが、この世界は宝島から子供が運ばれてくる都合上子供が人質に取られていると言っても過言ではないという実に変わった世界だ。


 とはいえ、故意に徳を崩す(犯罪行為の事)行為は天罰が下るらしく鬼が来ると言うのだが、見た事も無いのにどうしてそんなに警戒するのかと聞いたところ


 一部の種族(馬人族含む)は成長速度と知識が付いて行かない為、足りない知識を道具を使って補填するというのだ、どんな見た目をしているかと聞いたら小さい球かでっかい石の様な物があり、小さい球は子供を授かるときコウノトリが一緒に持って来て、大きい方は大きな町に存在する。


 コウノトリが来た時に町の人が集まる理由はこれも含まれていて、旅人や町を行き来する人に対応するために大きな町に移動できないものがあるようだ。


 そして、この一行の目的もその大きな記憶補助装置にあるようだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る