賽の圀
M9
第0話 プロローグ
私の名はサイガ、賽の河原で積み石崩しをしている獄卒たちの監督官をしていた、賽の河原は生前に【親より先に死を迎えた者の中で親孝行できなかった者】が行き着く場所で、親が死ぬまで親の供養塔を積み上げるのである。
そんな職場で少し前から問題が出始めたのある、昨今の俗世は平和で寿命が延びた上ろくに親孝行も出来ずに俗世を旅立つ者が増えた上に、賽の河原に長期間滞在する者が出始めたのである。
そうすると、次第に人は増え続けることになり、罪状の書類を見ると、自殺や過労死、最近では孤独死と言うものも出てきた、孤独死なら親も居ないのでは無いかと思ったら違うらしい。
長期滞在者の中で、私が最も気にしていたのは【過労死】である。
確かに、我々の仕事は非常に簡単なもので、【夕方頃に積み上げられた石を崩す】のであるが、数が多すぎて現在の獄卒では夕方に初めても夜明けまでに終わらなくなってしまった。
これに対し、私は獄卒の数を増やす嘆願書を書いたら【ずっと夕方】にされたのである。
賽の河原というのであれば、日中を両親の供養に充て、夕は悔いる事を学ばせるものだと説くも棄却され、まったく血も涙もない対応である。
まぁ、私も獄卒なので血も涙もないんですけどね。
このままでは、獄卒も過労死……、とするも死にはしないと思うが、狂ってしまうものも出るかもしれない、地獄が出来た頃は俗世に鬼が出ていたが今そのような事態になってはせっかく安定した地獄も崩壊しかねない。
そこで私は、新しい賽の河原を作り、罪人たちを次の世界へ送るカラクリをくみ上げたのであるが、エンドレス業務と新天地開拓の多重業務により……、
私事、賽の河原監督官サイガは二度と目を覚まさなくなってしまったのである。
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