第5話 ジェネレーションギャップ
若いスタッフとの報連相も上手くいかず悩んだ。
リハビリ助手は、50歳のパートの私と、私以外に20歳の社員さんが二人いて、二人ずつでコンビを組んで仕事をしている。
ある時、私が出勤するや否や患者さんが急に怒り出した。
どうやら前日、別のスタッフに「こうしないで欲しい」と念を押してあったことを私が守れなかったからのようだ。
患者さんの要求は様々で、人によって、やってよい事・やってはいけない事がある。(私の名前を名字で呼ばないでほしい)なんて要求もある。
本来なら最初に聞いたスタッフが、メモや連絡ノートに情報を残せば、次のスタッフはスムーズに対応できるのだが、二人はそれが出来ていなかった。
毎日出勤している彼女たちは、申し送りしなくても困ることがないので、前日休んだ人への報連相の重要性を理解していない様であった。
仕方ないので、二人にお願いしてライングループを作ってもらい、私からその都度、業務時のことを訪ねた。
仕事の話ばかりでは親睦を深められないと考えた私は、雑談も大切にしていた。
ある時仕事が遅くなった帰り道、若いスタッフを駅まで送る道すがら、好きな芸能人の話になった流れであることをフランクに訪ねてみた。
「彼氏はいるの? 」
恋愛の話なら任せて! と得意げになっている私に、彼女は冷めた目でこう言った。
「そういうことは聞かないでください」
けんもほろろの対応に焦った。
そういうことは聞いちゃいけないのね?
娘がいない私は、彼女たちと何をはなせばいいのかわからなかった。
しかし韓流の俳優さんの話になると楽しそうにしてくれたので、以後私は彼女とは韓流の話で場をつないだ。
こうして何とか意思疎通が出来るようになり、かなり痛いおばさんになっていたとは思うが、理想の接遇に近づいてきたのを実感した。
「ここに来ると元気もらえるわ」
「貴方に会うのが楽しみだから来たよ」
毎日来院する患者さんが徐々に増え、励ましの言葉をいただく度にモチベーションの源となっていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます