男の戯れ言

たんぜべ なた。

唐突で申し訳ありませんが…

 休日の朝


 差し込む陽光に

 心躍らせ

 一日の始まりを心待ちする時間



「時間が足りねぇ!!」

 とぼやく男が一人。


 この男、今でこそ「物書き」まがいな事をやってはいるが、本当なそんな事をしたかった訳ではない。


 三年前の事だった。

 日々の家計が「赤い自転車大暴走!!」という事で、何か食いつなげるモノはないかとネットを彷徨っていた男。


 以前は、「データ入力」の案件も無くはなかったのだが…。

 ご時世がら、出てくる案件話は『話題型の商品PR』ばかり。

「ステマブログで稼げるほど、小遣いは所持しとらん!」

 ってなわけで、せめて自分らしいものが書ける「物書き」を始めたのだが…。


 今では立派に、趣味の範囲に収まっており、赤い自転車は、相も変わらずである。


 ◇ ◇ ◇


 さて、冒頭にも触れた通り、『物書き』が目標ではなかった、この男。

 それでは、一体何をしたかったのか?


「そうさなぁ、サウンドノベルを作りたかったんだよなぁ…。」

 窓から見える空が…今日は曇り気味のようだ。



 サウンドノベル…今更説明するまでもない。

 読者の能動的行動こっち行こうかなによって、ストーリが展開していく小説のようなものだ。

 世には、沢山の秀作が存在し、男もたまに遊んでいる…。


 男がいたくサウンドノベルに傾倒したのは、小学生時代に読んでいた「ゲームブック」に由来する。

 要は、サウンドノベルの書籍版だ。


 ただ、サウンドノベルと違うのは、分岐結果によって本の至る所に点在する「一節」を見つけ、読み進めなければならないという手間だ。

 しかし、当時少年だった男は、手間も楽しみの一つと言わんばかりに「ゲームブック」を読んでいた。

 ・・・ちょうど、ラノベ小説を読む(?)子どもたちの様に。


 そして、となりの一節に心奪われるフレーズを見つけると、もう一度読み返すのだが…。

 そのフレーズには辿り着けなかった。

 頭が悪かったのか、読み方に偏りがあったのか…今は知る術もない。


 そのようなほろ苦い経験も相まって、サウンドノベルに対する好意的な下地が形成されていたのかもしれない。


 ◇ ◇ ◇


「じゃぁ、サウンドノベルを創ればいいじゃん!」

 と言われる諸兄も居られるだろう。


 …もぉ~少し、お話に付き合ってもらいたい。


 この男が考えた『サウンドノベルゲーム』。

 あるカラクリを入れたくて…深みにはまってしまったのだ。


 そのカラクリというのは…。

 〇 一度作り上げたキャラクターで複数の短編小説(シナリオ)をプレイできるようにしたい!

 〇 作り上げたキャラクターの行動履歴から短編小説(シナリオ)のオープニング、伏線を変えたい!

 〇 もちろん、短編小説(シナリオ)単品でも十分に楽しめる。

 というものだ。



 この発想の起源は、多分に高校時代のTRPG同好会ひまじんのかいに起因していると思われる。

 世間ではテレビゲームが普及し、周りの連中はゲームの攻略で盛り上がっていたが…。


 男たちは、ストイックなまでにTRPGへ傾倒していった。

 そう、雪玉が雪原を転がりながら、やがて雪崩へと変化するほどに。


 テレビゲームと同じようにTRPGのキャラクターもシナリオをこなす毎にレベルアップしていく…。

 のだが、中には「能力スキル」が向上するだけで、ヒットポイントがアホみたいに上昇しないものもあった。


「これは使えるのでは??」


 使い慣れたキャラクターで、攻略を進める。

 試してみたいスキルの為に、別のキャラクターを作ってみる。


 いきなり二通りの遊び方が出来るのだ。


 サウンドノベルであれば、分岐の組み合わせや、ゲームプレイの初期設定値を細工する事で、通り一辺倒のシナリオが、多岐に分岐することで、一つのシナリオで複数のお楽しみを味わえる…はず。と考えたのだ。


 気になるサウンドノベルのシステムを解析したところ、分岐はもちろんだが、ゲームのセーブデータに分岐情報を記録できる項目も確認できたため、実現できそうな目途はついた。


 目途はついたのだが…。


「時間が足りねぇ!!」

 というボヤキに帰ってくるのだ。


 ◇ ◇ ◇


 では、時間が足りない元凶は何なのか?


 主な理由は以下の通り


 そにょ1:絵心が無い!

 のサウンドノベルである。

 まぁ、キャラクターを影絵にすることで、手間を省こうかと画策したとしても、背景まで影絵にすると…なんか面白くない!


 そにょ2:音楽性が乏しい

 高校生時代の音楽の授業。

 ト音記号を理解できない野郎どもの一員だった男。

 授業の初日に、音楽科講師はサジを放り投げてくれた。

 どうしたらいいのだろう?


 そにょ3:日常が多忙

 言っても、社会人だ。

 シナリオを創作するのは何とかなるが、システム開発を行えるほどのまとまった時間は持ち合わせていない。

 …貧乏だったが、時間に余裕があった学生時代を思い出し、望郷の念に駆られてしまう男。


 いっその事、誰かに丸投げして

「失敗したら、ごめんなさい。

 うまくいったら、おめでとさん!」

 と叫びたくなる時もある。



 とりあえず、今は思いのたけを文字に起こせたので、これで良しとしよう。

(・∀・)ウン!!



 そして、また時間を浪費する男だった。

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