第12話 片がついた件

 僕たちが3人の悪徳冒険者の所に着くと、3人ともなんとか縄抜けしようとしたんだろうけど、どうやっても解けなかったから疲れきっている様子だったよ。


「こいつらがそうか」


 ゴーダックさんがそう言うと3人ともノロノロと顔を上げてギョッとした顔をした。


「な、何で解体屋の野郎がここに!」

「ハ、ハーレイまでっ!」

「クソッ、何で俺たちのウソがバレたんだっ!」


 そこまで聞いてハーレイさんが言った。


「うん、コレでユージくんの言った事が本当だと証明されたよ。さて、Cランク冒険者パーティー【サンルー】のカレル、ハテル、ミテルよ、今からお前たちをギルドに連行する。サヨリに依頼され実行した罪は重いものになるぞ」


 ププッ! 安直なパーティー名に思わず吹き出しちゃったよ。エルも声を押し殺してるけど、涙を溢しながら笑ってるし。それを見た3人が悪態をつくけど、僕とエルの笑いは止まらない。


「テメエ、クソガキッ!! 笑ってんじゃねぇぞ!」

「このハテル様の剣のサビにしてやるっ!」

「俺たちサンルーは最強なんだっ!!」


 エルにアッサリと気絶させられた事実はこの人たちの記憶からはスッカリと消えてしまってるようだね。

 僕は3人の悪態を無視して、【桂馬けいま】の初級属性魔法の中から闇属性魔法で3人の思考能力を低下させたよ。コレで僕の命令を素直に聞く操り人形の出来上がりだ。まあ、この魔法は自分よりもかなり下の能力の人にしか効かないし、効力も1時間ほどだからね。


「ふーむ、ユージよ。無いとは信じてるがこの魔法を悪用したらダメだぞ」


 ゴーダックさんが僕にそう警告をしてくれたから、


「悪用は絶対にしません。金精神様に誓います」


 ってゴーダックさんに言って安心して貰ったよ。それから僕たちは3人を連れてギルドに戻ったんだけど、3人の様子(操り人形化)を人に見られないように、裏口(職員専用)から中に入ったんだ。

 へぇー、こんな感じなんだね。僕は興味深く周りを見ながら中に入ったよ。そしたらハーレイさんが、


「ユージくん、出来れば口外無用でお願いするよ」


 って言ったから、勿論ですと答えたよ。そして、職員しか通れない通路を通って、職員しか使用しない階段を使用してギルマスの部屋に入った僕たち。そこには……


「ですから、一体なんの用事があるのか仰って頂けませんか? マスター?」


 って聞いた事のない女の人の声が響いていたんだ。この声が経理部長のサヨリだろうね。僕たちがゾロゾロと入っていくとギョッとしたような顔をする女性がいた。20代後半かな?


「だ、誰ですか! ここはギルドマスターの部屋ですよ、許可なく入るなんてっ!!」


「いいのだ、私が許可してあるよ、サヨリ」


「マ、マスター?」


 怪訝そうにそう言ったサヨリは僕とエルの後ろにいる3人を見て顔を蒼白にした。更にその後ろからハーレイさんとゴーダックさんが現れて、ゴーダックさんは表の入口前に立ち塞がったんだ。サヨリの退路を断つ為だろうね。


 そして、ハーレイさんがサヨリに声をかけた。


「さて、サヨリさん。この3人に見覚えはありませんか?」


 問われたサヨリは蒼い顔のまま、無駄な抵抗をする。


「ハ、ハーレイさん。私は表には出ませんから、冒険者のかたの顔や名前など知りませんわ……」


「そうですか…… 彼らは貴女から直接依頼をされたと言ってましたけど?」


 そこまで見て僕とエルはサーラーさんとゴーダックさん、ハーレイさんに頭を下げてマスターの部屋を後にしたんだ。

 あとの事はギルド内で処理して貰わないとね。僕たちが関わるのはここまでだよ。きっとあの3人なら納得のいく決着をつけてくれると思うんだ。

 僕とエルは退出した後にハクシン商会に向かったんだ。ご飯を買いにね。そして、今日は


「おおーっ!! エル、見てよ。期間限定の【ホエール・カウのステーキ弁当】があるよ!!」


「ユージ様、コチラは【ホエール・カウの焼肉弁当】が!!」


 期間限定という魅力的な文字が目に飛び込んできたんだ。

 僕とエルは悩んだ…… 悩みに悩んで2人して2つとも購入したんだ。僕の収納に食べない方を入れておけば良いからね。期間限定だし、次に来た時にあるかどうか分からないからね。


 その日は大満足でお弁当を食べて、そして遂に僕は負けてしまった…… 何故かエルと一緒にお風呂に入ってるよ…… 気がつけばベッドに寝かされていた僕は、


「ユージ様、申し訳ございません。時間が長すぎたようで、逆上せて気を失われましたユージ様をお着替えさせてコチラにお寝かせしました……」


 ってエルに聞かされて思わず赤面しちゃったよ。聞けば顔を真っ赤にして鼻から盛大に血が吹き出て気絶したとか…… もうお婿にいけない…… そして、一番気になる事を僕はエルに確認したんだ。


「み、見たの?」


「何を? でございますか? ああ、ユージ様の猛々しくも力強い【ジュニア】でしたらシッカリと目に焼き付けております!」


 や、め、て、くれーーっ!! 僕は恥ずかしさマックスで布団を頭から被ったよ。そんな僕にエルは、こう言うんだよ。


「ユージ様、恥ずかしかる事はございません。健全な証拠なのですから。15歳になられましたら…… ジュルッ、あんな事やこんな事を私といたしましょうね……」


 ヨダレを吸う音が聞こえてるよ、エル…… 僕はまだまだ清い身体で居たいから、もう二度とエルと一緒にお風呂は入らないと決めたんだ。




 後から聞いた話だよ。


 冒険者ギルドの経理部長だったサヨリとCランク冒険者パーティー【サンルー】の3人は犯罪奴隷として辺境開拓に送られたそうだよ。重犯罪を犯したからしょうがないよね。

 魔獣、魔物だらけの辺境で果たして生き残れるのかは神のみぞ知る、だね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る