オメガバース・オムニバス GL編 最初の出会い

私が生きているこの世界には、従来の性別につづく生来の第二性が存在している。


第二の性の種類は3つ。

α=容姿と知能が比較的優れた生まれの性。

社会的に上位の職位につきやすい傾向にある。

女性αには男性とは違う形で生殖器が存在する。

ちなみに私はこれ。


その他には

β=いわゆる普通。一般家庭の基盤になりやすい。

Ωまたはαへの突然変異が稀にある。

Ω=容姿や知能にあまり差異はない。

αやβに比べ、繁殖・生殖に特化した身体構造で、

男性Ωは妊娠できる。


ついでにαとΩにはそれぞれラットとヒートという

性行為誘発フェロモンを無意識に撒いてしまう期間が存在する。


Ωの人たちは、ヒート時に狙われたら大変なので

ヒート抑制剤やチョーカーをして最低限の対策をとっていたりもする。

ちなみにαにはなんの薬もまだ開発されていない。


ここまでの情報を義務教育中に全て教わった上で、

私は同じαの女性とおよんでしまい22歳のときに

双子を産んだ。


可愛い男女の双子。およんだ相手は私を番にすることなく、私の妊娠発覚後すぐ行方をくらませた。

そんなこんなで双子が小学生になり初登校の日。


「「ママーーはやくぅーー!!」」「はーい!」


初登校から一週間は親が付きそう決まりの学校だったので、玄関を出て早々に双子が私の手を引き駆け出していく。初めての事にワクワクを隠せないのが

みていてよくわかる。


「走らなくても学校はなくならないから、ゆっくりいこう?ね?」

(それに走っていたら、体力切れしそうだから…)


「じゃあもう少しだけ先に行ってまってるねー!」

「私もー!」

「あっ、まって!」

 

しびれを切らした双子は、私が握っていた手を離し、目は届くけれど手が届かない距離へと走り出してしまった。

双子の走る先に、学生のような二人組が現れた。

ぶつかる。


「「おわっ!!!!」」「「ワアッ!!!!」」


双子がそれぞれ人にぶつかり、尻もちをつく。

双子にぶつかられた二人組はよろめく。


「大丈夫でしたか?!すみません!!!!」


双子の無事確認と確保、謝罪のために駆け寄る。


「大丈夫です、大丈夫です!」「手を貸すよ」

 

私がよるより早く、こちらに無事を教えてくれた上、双子に男女の学生?が手をかして立ち上がらせてくれる。


 (ああ、なんて優しい子たち…ありがとう)


「ありがとうございます!子供がすみません…」

「「お兄ちゃん、お姉ちゃん、ごめんなさい…」」


私が謝罪するのをみて、ションボリした顔で

男女の学生にふかぶかと謝罪する双子。


次の瞬間双子の兄の髪が男子学生の大きな手でワシャワシャされ、妹の頭も女子学生の手でナデナデ。


「ママの手、離したらだめだぞ。大好きなら尚更」

「お手手、離れ離れは悲しいから、ぎゅって、ね」


安心をさせつつ、言葉で優しく諭してくれていた。

しかも顔をみて、双子も素直にうなずいている。

(ママの言葉は一度はスルーするのになぁ)


「本当にすみませんでした!これ、お詫びに…」


子どもたち用に持っていた、紅茶クッキーの小袋を「こんなのしかなくて」と言いながら、

渡していたら、ふと一瞬周囲に甘い香りがただよった。どちらかクッキーの封が空いていたかもしれないが、すでにしまわれてしまったのでわからない。


学生二人組も大学にむかう途中だったのを知り、早々にその場を解散した。

双子は二人組が、みえなくなるまで手をふっていた。


(双子の中では優しいお兄ちゃんお姉ちゃんのお友達が出来た、のかな。)


その後、香りに気を取られているうちに、双子が「学生二人組おにいちゃんおねえちゃんとお詫び紅茶パーティーの約束をして、友達になったの!」と、小学校についてから聞いた。


(子供の行動と決断力おそるべし。油断ならない。)


紅茶パーティーのときにまた会えるなら、今度は甘すぎないクッキーにしようと心に決めたのだった。

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