毎日動く、ちょっとした勇者

@torororo3

第1話

 あるひ、せかいがきえたとき。


 わたしは、かみにいのった。


 なぜ、こんなことをするの?


 かみはいった。


 なにもいわなかった。


 僕は、それを天啓だと知った。


******


 僕らが信じる神は、なにもしてくれない。せいぜい、祈らせてくれるくらいだ。そんな神様を信じる必要あるのかと疑問に思いながら毎日祈って生きてきたけれど、結局最後まで何もしてくれなかった。


 神父様は僕を痛めつけ、酷いことをする。最期に意識がなくなったとき、僕は命を落としたのだと悟った。けれど、結局神父様に罰が下ることは無く、僕はただ酷い目に遭っただけだった。


 最悪の人生だ。


 そうおもっていた。


 けれど、世界は再び動き出した。それは、新しい命という形で。


 こんなことになったのだろうと思案したけれど、特に何も思い浮かばなかった。神様の本によれば、天国というやつにいけるらしいのだけど、ここはどう見ても天国には見えない。一般的な、というより、汚らしい一軒家である。そして、側に居るのは知らない人。きっと、僕のように貧しい人が大人の女性になったら、こんな感じで痩せこけた人間になるのだろう。


「〇△□×△□×〇」


 何を言っているのかは分からなかった。


 けれど、その表情が悲壮な決意に満ちていることだけは分かる。それは神父様とは違って、どこか心を暖かくしてくれる何かを持っていた。


 その瞬間。


 彼女の首は斬り落とされて、視界は真紅に染まった。鮮やかな血液が飛び散り、こわれたおもちゃみたいに彼女の首が落ちていく。


 そして、僕は見知らぬ髭面の男に抱かれて、どこかへと向かっている。


「あー」


 僕は、彼女のために鳴いた。その声に、特に何か意味が乗せられているわけではない。


 けれど、鳴かない神より、少しはマシだろう。



 

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