記憶

バブみ道日丿宮組

お題:正しい伝承 制限時間:15分

 記憶というのは代々継承されてくシステムのようなものだ。

 それはいわゆる転生というものの一つ。

 とはいっても、何回も繰り返されてるので元となった魂は既に存在しない。

 記憶があるというだけで、自己精神が変わってるわけじゃない。

 僕が僕であって、私が私である。

 誰かに変わるわけじゃない。産まれてすぐに歩いたり、喋ったりも当然ない。

 思春期に記憶が落ちてきて、あぁなるほどと知ることになる。

 全部が全部記憶されてるわけじゃない。

 正しい伝承というべきか、必要なものが残されてる。

 例えがあるとすれば、

「また満点だね」

「そうだね」

 知識に関してはカンストしてる。

 廊下の掲示板に張り出された試験結果は、当然一番になる。

 歴史は体験したことも踏まえて消えないし、公式は使い慣れ、文字は読み飽きるほど見た。

「君も3位じゃん」

 見慣れた名前がほぼ下にある

「たくさん教えてくれたからね」

「試験は手伝ってないから、君の力だよ」

 そういう意味では僕はズルをしてる。

 知り得た情報は誰よりも多い。

 将来を期待されてるかと思えば、そうでもない。

 僕の名前は街だと既に、そういう家系とされてる。

 継承という言葉を知ってるわけではないけど、天才家系として有名だった。

 とはいえ、スポーツに限って言えば個人差がある。

 女性が男性に勝てないように、非力な男性はムキムキには勝てない。

 僕は男だけど小柄だ。そのため、足は早くないしジャンプ力もそれほどない。

「3位までに入ったら、デートしてくれる約束だったよね」

「そうだね」

 僕とデートする利点があるのかはわからないが、

「じゃぁ、今週の土曜日空いてるかな?」

「土日も放課後もあいてるよ」

 学生の仕事である勉強は不要なため、塾にいくこともない。部活でセンスをだすわけでもない。そうなれば、必然として帰宅部であり、土日は家で過ごすのがほとんどだ。

「2日もいいの!?」

 驚いた顔で彼女がぱんぱかぱーんとなった。

「1日に限定してたわけじゃないから、別にいいよ」

「やったー」

 両手をあげたので、手を引っ張って掲示板から離れる。

 さすがに目立つのはよくない。

 またあいつかと思われることはあっても、自分からアピールはしない。

「じゃぁあとでメッセージ送るね」

 彼女は去ってった。

 その後は悪友が近づいてきて、散々いじってきた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

記憶 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る