赤ずきんちゃんと懲りない狼
道鬼
第1話 ドSトップアイドルとオタク
人間と動物がコミュニケーションをとったり、共生したりするとある世界の話。その世界では、動物も人間同様、二足歩行して、人間と同じ言語を話していました。人間と動物は、同じ世界で同じ会社で働くこともあれば、アーティストを生業としていることもありました。
こうした世界で、赤ずきんちゃんは、ほかに例を持たないほどの国民的人気を誇るトップアイドルでした。
そうしたトップアイドルの赤ずきんちゃんは、今年の4月に19歳になったばかりでした。赤ずきんちゃんは、8頭身で、手足はすらっと長いだけではなく、身長は175㎝、体重は60㎏、バスト95㎝のナイスバディでした。しかも、色白で、赤毛の美人でした。性格は、気が強く、どちらかと言えば、ドSでした。
このような赤ずきんちゃんは、豪邸に住んでいるのかと言えば、そうでもなく、隣家のないものの、外観は何の変哲もない一軒家に一人で住んでいました。
彼女の家は、自家発電ができるように、煙突はなく、屋根に太陽電池が敷き詰められており、オール電化になっていました。窓ガラスは侵入を阻むためか、厚さ3㎝の防弾ガラスが入っていました。
また、2階建てでしたが、地下室はついていました。地下室と1階は繋がっておらず、地下室から階段を経て、地上に出る仕組みになっていました。玄関先には板が張ってあり、板の下には地下室がありました。いわゆる1階よりも地下室の床面積が広いことになります。赤ずきんちゃんは、地下室をダストとして使用しているらしいです。
こうした住宅に一人で住んでいる赤ずきんちゃんにも、最近、悩まされていることがありました。それは、自分の熱狂的を通り越して狂信的⁉妄信的⁉変態的⁉ファンになっている狼の存在でした。
この狼君は、身長170㎝、体重69㎏、今年6月で30歳になりましたが、赤ずきんちゃんオタクから脱皮できず、また童貞でもありました。
3階建てアパートの2階西側に住んでおり、部屋は2LDK。部屋の壁には、赤ずきんちゃんのポスターが、所狭しと貼られており、机には赤ずきんちゃんフィギュアが30体、PCの壁紙、携帯の待ち受けも赤ずきんちゃん、赤ずきんちゃんのステッカーの貼られたTENGAまで置いてあるといいう始末。
狼は、次第にオタクを通り越して、赤ずきんちゃんを自分だけのものにしたいと考えるようになっていました。赤ずきんちゃんの後をこっそり付け回し、待ち伏せし、赤ずきんちゃんの背後から抱き着こうとしたことも、あったようです。
こうした状況にある赤ずきんちゃんの悩みとは、このオタクに自分の家を特定されてしまったことでした。
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