第12話 侵略者

「ツクツクツクツク」

「この!一般人には区別がつかねえんだよ!」


 ツクツク鳴くツクツクボウシ?の怪物が空を飛び腹から小型のツクツクボウシ怪物を飛ばしてくる。

 厄介なのは小型をコンボーで叩き付けると爆発するのだ。


「くっ!この!」


【ストライカー】


 カードをスキャンし、右手を握る。

 急降下で迫る小型に火炎弾を発射!同時に地面に伏せる!


 ドゴゴゴ!と小型は爆発に巻き込まれ、その全てが誘爆した。


【ファイナルアタック】


「おおおおお───」


 下半身に漲るパワーを爆発させ、空高くへ飛び上がる!


「らああああ───!」


 右足を突き出し急降下!

 俺の蹴り足は紅蓮の炎を纏いツクツクボウシ怪物を蹴り飛ばした!


 ボボボン!


 紅蓮の炎を纏いし蹴りは着弾と同時にそのエネルギーを対象に流し込む。


 蹴り飛ばされた対象は空中で爆発四散するのだ。


 ツクツクボウシ怪物も同様に大爆発を起こして塵となる。


「ふぅ……」


 着地と同時に息を吐いた。

 すると近くの建物の横からパチパチと何かを叩く音が聞こえてきた。


「何だ!」


 俺はすかさず振り向き戦闘態勢を取る!


「くくく。中々いいパワーを持っているようだなぁ」


 そう言って手をたたき現れたのは槍を持った鎧の男。


「……怪物じゃない?」

「俺をあんな虫けらと一緒にするなぁ」

「まさかウィザード……なのか?」


 そう、俺こと赤城勇斗はOCGディメンションウォーズのオーガのシンボルを得ていて、相棒の竜也はソルジャー。

 そして、発売日に実装されたシンボルの残り一枠がウィザードだ。

 つまり、目の前の男は消去法ならウィザードということになるのだが……


「やり?」

「お前たちの世界じゃ魔法使いは槍を使うのかぁ?」


 無造作に突き出された槍が俺の顔、その数センチ横を突き抜ける。


 耳を打つ風圧に俺の顔は引き攣るが、硬直しては不味いと俺のオーガとしての本能が告げ、身体が半自動的に反応。


「超反応だなぁ。横っ飛びで距離を取ったかぁ」

「はぁ……はぁ……」

「この世界のプレイヤーもやるなぁ」

「……世界だと!?お前は一体ッ!」

「俺かぁ……?」


 コンボーを担ぎ睨みを効かせる俺に向け、首をゴリッと鳴らせ槍を向け


「俺は次元を跨ぎぃ、世界を統一する者たち……侵略者って言えば分かるかなぁ?」

「ん……だと」

「そして俺はパズカノンのアガザイだぁ」


 俺に向かい、駆け出したアガザイが高速で槍を突き出したのを既のところでコンボーで弾く!


「あひゃ!あひゃあ!」

「ぐっ!ちぃ!はやい!」


 ギュン!ギュン!と唸りを上げるアガザイの槍。

 コンボーて一撃目は合わせたが、続く二撃はバンクルで、三撃で肩を抉られたがカウンターで蹴りをアガザイの胸にぶち込んだ!


「ぐお!」

「ッッ!」


 互いに距離が離れて仕切り合いとなるが──


 速度重視かと思いきや、一撃が重く、抉られた肩は動きもしない。

 俺は何とか【ヒール】のカードをデッキに通して回復をする。

 回復系はデッキに数枚あるが、一度の変身で一度しか使えない。使えば黒く染まり使用不能になってしまう。

 あと使える【ヒール】は二枚。

 パワータイプの俺の蹴りがカウンターで当たったにも関わらず、アガザイは首をゴリッと回してまるで気にしてすらいない。


 ダメージの通りが悪い。このままではジリ貧だ──







 

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