変身ヒーローになったら彼女が出来たのでイチャラブするついでに世界を救います!
@GARUD
第1話 とある一般人の災難
昨日の晩、俺の身に起きたことをありのまま話す。
先ずは俺だが、駐車場で働くしがない警備員だ。
監視カメラを見ながらカロリーバーを齧って居たとき、ソレは突然現れたんだ。
前触れもなく、本当に突然にその場に湧いたとしか説明が出来ない。
節電で減らされた蛍光灯の光がうっすらと照らす薄暗い駐車場の中に現れた。
黒く、妖しくテカるそう、例えるなら二足歩行のGってところだ。
俺は夢でも見ているんじゃないかと目を擦り、タバコに火を点け、煙を吐く。するとソイツはモニターから姿を消した。
夜勤が続いた俺は疲れで幻でも見たのかとコーヒーを淹れようとしたその時だった──
『ガンッ!ガガッ!』
慌ててモニターを見た俺は恐怖に盛大に引き攣った。
Gが物凄い勢いで俺が居る警備室の扉をぶっ叩いてやがるじゃねえか!
しかも打撃音と同時に扉がベコン!ベコン!と凹みやがる!厚さ十センチはある鋼鉄の扉がだ。
俺は凹む扉とモニターを呆然と眺めるしかない。
ついに扉が荒々しい音を立てて部屋の中へと叩きつけられた!
このとき俺は放心状態ながらも、これから俺はアニメで見た火星のテラフォーミングに失敗したエイリアンに喰われるのか?とぼんやりと考えていた。
実際に扉をこじ開けたGはゆっくりとした足取りで俺の方に向かってくる。
ギチギチと顎を鳴らし、節足動物っぽい見た目のくせに五本の指を妖しく動かす。
俺は肩を掴まれ外に投げ飛ばされる。
激しく背中を打ち付け滅茶苦茶痛い。
改めて現実なのだと思い知らされた俺は背中の痛みを堪えて必死に後退る。
ゆっくりと警備室から出てきたGは悠然と俺に近寄ってくる。
ヨダレが地面に垂れ、ジュッと音を立てて蒸発した。
そしてついにGが地面を蹴り、俺に向かって飛び掛かって来る。最早これまで。ママ愛してたよ!
そしてギチギチと音を立てる顎が眼前に迫った瞬間の事だった。
「ハァッ!」
ドゴッ!といつ重い肉を打つような音を立て、Gが俺の視界から消える。
【アクティベイト】
【チェンジ・ソルジャー】
機械のような冷たい音声が耳を打つ。
そして薄暗い駐車場が光の奔流に包まれた。
光の中から現れたのは要所を黒い鎧に包み、黒い兜を被った一人の男。
インナーの中に隠されたボディは見るからに筋肉質で上腕は隆起している。
鎧の男は素早い身のこなしで未知のエイリアンに格闘戦を仕掛けた。
鉄の扉を叩き飛ばすほどの膂力のエイリアン相手にドゴ!ドゴンッ!とこちらも負けず劣らずの打撃音。
激しい拳撃からの回し蹴りがGの頭部を直撃し、Gが吹っ飛び壁に激突。
苦しむGを前に鎧の男は一枚のカードのような物を取り出した。
【ファイナルアタック】
「おおおおおおお!」
鎧の男はまるで重力に逆らうかのように地面を水平に飛び、ドリルのように回転すると、その足の先端がGを穿った!
鎧の男が突き抜けると身体に大穴が空いたGがバタリと倒れ、その身が爆発四散した。
「ふっ!ふぉおおおおお!」
俺は死の恐怖から開放された興奮のあまり雄叫びを上げてしまった。
涙まで流していた気がする。
鎧の男は感動にうち震える俺を横目に、何処にあったのか、ごついバイクに乗ると光の中へと消え去っていったのだった。
「って言ったら信じられるか?」
「カメラの録画に何も映ってねえんじゃ信じられねえよ。お前はクビだ」
「そんなっ!?」
「だいたいお前が言う吹っ飛んだ扉は無事、何処も壊れていなければ爆発の跡もない。警備中の居眠りを誤魔化すために盛りに盛った盛大な与太話をするようなヤツはクビで当然だろ?」
「ぐうの音も出ない……」
肩を落とした俺はここを立ち去ることにした。
だって……昨日の出来事で散々にボコられた鉄の扉は普通に付いてるし、何なら打痕すらない。綺麗なもんだったのだから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます