第22話
パトリシア殿下は観客席の中でも特別に
そのパトリシア殿下に向けて武勇を
パトリシア殿下は自分がなぜ小鬼の
殿下が無理やり作ったぎこちない笑みに怪物は気を良くしたようで、再び喜びに満ちた
鉄格子の怪物はその間せっせと周囲の小鬼の
剣闘士の怪物が
鉄格子の怪物はすぐに僕たちのいる出口に向かってどしんどしんと巨体を
僕たちは隠れる場所がないか周囲を探した。そして、ちょうど脇にあったガレー船の影に身を隠した。
恐らく、この闘技場では水を張って
仕掛けに乗って地下に姿を消した怪物は小鬼を連れてすぐに再び姿を現した。そのまま急いで闘技場へと向かう。
「マルグレット卿、まずはあの怪物たちを
小声ですぐ隣のマルグレット卿に話しかける。マルグレット卿は小さく
僕とマルグレット卿、二人でコソコソとあの鉄格子の怪物を倒す
闘技場からの
しばらくして、闘技場へと続く通路からどすどすと鉄格子の怪物の足音が聞こえてきた。
次の瞬間、マルグレット卿がガレー船の影から飛び出てきて、鉄格子の怪物の進路の前に立った。そのまま矢を放ち始める。
次々と矢が鉄格子の怪物に刺さっていった。だが、鉄格子の怪物は痛みを感じていないかのようにそのまま
そのまま鉄格子の怪物はマルグレット卿にずんずん近づいていく。そうだ、そのまま進め。
鉄格子の怪物が手の届くほどの距離までマルグレット卿に近づいた時、天井に張り付いていた僕は飛び降りた。
そのまま鉄格子の怪物の首元にとりついて、その目を短剣で刺し貫こうとする。が、がむしゃらに暴れる鉄格子の怪物に僕は振り払われ、地面へと落ちた。
鉄格子の怪物が喉を抑える。落ちるさなかに何とか喉を切りつけることは出来たらしい。鉄格子の怪物の手の隙間から勢いよく
しかし、ああ、これはまずいな。僕は全身に走る痛みをこらえてなんとか立ち上がった。
怒り狂った目つきで鉄格子の怪物が僕を
鉄格子の怪物が僕に向かって鎖をふるう。通路の壁を
近づく僕に怪物は鎖を投げ捨て、拳を握りしめて床を殴りつけた。地面に
土煙が
背後から鉄格子の怪物が
あの瞬間、僕はすれ違いざまに怪物の足の
僕は恐る恐る怪物に近づいた。鉄格子の怪物は僕を
マルグレット卿が僕に駆け寄ってくる。
「よかった、無事で………。」
僕が大して怪我もしていないのを見てとると、マルグレット卿が
「止めはささないのですか?」
「ええ、まあ。いつぞやの双子の狼のように相方が死んだことを察知されては困るので。」
魔獣の一部には自身のペアが死んだことを本能的に悟るものがいる。剣闘士の怪物とこの鉄格子の怪物の間にそのような絆があるのかは分からないが、用心するに越したことはない。
それに目的のものは息の根を止めなくとも手に入る。僕は怪物の懐を探る。あった。僕は鍵の束を引っ張り出した。
「これです。これが欲しかったんです。」
「はい?」
マルグレット卿が不思議そうに小首を傾げる。僕はマルグレット卿の耳元に口を近づけて
「それはまた、大胆な……。」
マルグレット卿は開いた口が
「ですから、これはマルグレット卿に持ってもらいたいのです。」
マルグレット卿がカギを受け取ったその時、闘技場から剣闘士の怪物の低い
深い怒りが
「もう時間がないようです。よろしく頼みますよ?」
マルグレット卿が
相変わらず、剣闘士の怪物は怒りをこめた
「待たせたね。」
この前の借りは必ず返す。
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