第46話 大使館に行くのは?
本当に10分で
応接室に
「おはようございます。昨日ぶりですね、鴉さん。まさかこんなに早く打合せをするって思ってなくて。今日はよろしくお願いしますね」
「おはようございます。本日はよろしくお願い申し上げます。また、先日は図々しい願いにも関わらず、きいていただき誠に有難うございます。末代までの家宝となりました!!」
私は気合を込めて
私の挨拶にクスクスと
「オイオイ、タケフミ、大丈夫か? ちゃんと打合せ出来るのか?」
相川先輩の声が遠くから聞こえてきた。そこで私はハッとする。
そうだ、私が出来る男だと
「勿論です、先輩。さあ、グズグズしないで打合せをしましょう」
いや、お前だろっていう先輩の呟きは聞かなかった事にして、打合せは始まった。
「で、だ。深野さん、イギリス大使館から招待状が届いてな。日にち的にもちょうど深野さんの予定があいてる日なんだけど、どうする? 行く?」
「どういった招待なんでしょうか? 私には招待される訳が分からないんですけど……」
「どうもイギリス大使がスコッチウィスキーを紹介してくれるならば一度会いたいって事らしいんだけどね」
相川先輩の言葉に考える
「その…… 招待には私だけが行くのでしょうか?」
「いや、タケフミにも一緒に行ってもらうよ。表向きは番組の重要スタッフの1人としてだけど、実際は深野さんのボディガードとしてね。手紙の件もあるから」
相川先輩のその返事を聞いた
「それなら、行ってみようと思います。娘のカオリから鴉さんなら大丈夫だって教えて貰ってますので」
何とヒヤマさん、そんなふうに私の事を
「任せて下さい! 私がいるからには深野さんに誰一人手出しさせません」
私は力強く
例えイギリスの首相だろうと手出しするならば地獄を見せてやるとの気概を持ってボディガードをしようと心に誓う。
それから、大使館から伝えられた日程を確認して、次に海外ロケについての話になった。
「現地には5泊6日、いや7日になるのか。で、有名な蒸留所をメインに訪れて貰うって話なんだけど、宿泊施設はテレビ局のスタッフも一緒に泊まる事になるから、タケフミよ、しっかりとウチの稼ぎ頭さんを守ってくれよ」
相川先輩からそう言われ、私は返事をした。
「先輩、たとえ機関銃を掃射されても深野さんには傷一つつけずに日本に戻って貰います。任せて下さい」
私の言葉に
「頼もしいわ、鴉さん。娘が言うとおりの方なのね。よろしくお願いします」
「よ、よろしくお願いされましたーっ!!」
イカン、舞い上がっている。私はそう思いながらも嬉しさを噛み締めていた。だが、そこに相川先輩からの衝撃の言葉が届いた。
「タケフミ、言い忘れてたけど、今回のロケには深野さんのご主人の桧山プロデューサーも同行するらしいから、ちゃんと2人を護衛しろよ」
何ーっ!! 私の
「公私混同みたいになっちゃうけど、ごめんなさいね。主人がどうしても現地でウィスキーを試飲したいって駄々をこねたみたいなの」
クッ、
「ハハハ、やはり、現地で飲めばまた味わいも違うでしょうね。先輩、勿論のことです。ご夫婦お2人をちゃんと守ってみせますよ……」
そう少しだけ、声のトーンを落としながら答えたのだった。
日にちが経つのは早い。今日は大使館に行く日だ。東京事務所で
「おはよう、オジサン」
「タケフミさん、おはよう。今日はよろしくね」
「鴉さん、本日はよろしくお願いします」
えっ? な、何の事だ? 私は訳が分からずに相川先輩を見た。そこにコンドルスターのリーダー、トウシくんもやって来て、
「あ、タケフミさん。今日はよろしくお願いします」
と私に挨拶してきたので益々混乱してしまった。
「いや〜、タケフミに言うの忘れてたわ。あの後にまた招待状が届いてな…… 大使がランドールにも会いたいっていうし、大使の娘さんがトウシに会いたいって書いてあるしで、慌てて日程調整して、今日まとめて皆で行ってもらう事になったんだ。悪いけど頼むな」
いや、相川先輩…… 昔からそうでしたが、今も変わってなかったんですね。
重要連絡事項を伝えるべき人に伝え忘れるクセは。
私はため息を吐きながら分かりましたと言っておいた。今さらどうしようも無いからね。
そして
「おはようございます、鴉さん。今日は急に行く人が増えたようですけど、よろしくお願いしますね」
「おはようございます、任せて下さい」
私は元気よく返事をした。その様子を見ていたランドールの2人が何かを言っている。
「ねえ、ヒナ、オジサンの目がハートに見えるのは私の気のせいかしら?」
「ううん、ナミちゃん、気のせいじゃないよ…… 大変だ、タケフミさんが不倫に走らないように見張っておかないと!」
私の意識は
ランドールの2人には時計も渡してあるので、2人に関しては戦車の砲撃でも簡単に防げる。
その他の人についても同じレベルの結界を張ってある。
ファンとしてどうしてもせずにいられなかったのだ。
そして、ランドールの2人にマネジャーのヒヤマさん、コンドルスターのトウシくんに、
大使館で待ち受けてる者がいるとはこの時は私も知らなかった……
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